東日本大震災という、あの忌まわしい地震と津波から13年が経ちました。
福島第一原子力発電所では、水素爆発を起こした1号機屋上には未だに汚染された瓦礫が残っているため、100m離れても放射線量は1時間に80μSvもあるらしい。
1時間に80μSvというと、一般人の年間限度に12時間あまりで達する強さで、それほど長くは作業員が現場にとどまれないようです。
熊本地震や能登半島地震など、東日本大震災以降も大きな地震が発生していますが、政府の「国土強靭化」政策は遅々として進んでおらず、私たち日本国民の災害リスクは高まるばかりです。
例えば、首都直下型地震の発生確率は「30年以内に70%」とされている一方、南海トラフ巨大地震については、昨年さらに発生確率が引き上げられ、40年以内に90%の確率で発生すると修正されています。
とりわけ、南海トラフ巨大地震の想定死者数については東日本大震災の際の死者数の14倍にのぼるとも言われ、関東は茨城県から九州の南部に至る様々な地域が大ダメージを受けるのは必至です。
土木学会のシュミレーションによれば、人的被害は32万3,000人で、経済被害は生産資産の破壊により失われるGDPを含めて1,410兆円となっています。
ちなみに、東日本大震災の人的被害は2万2,000人、経済被害は16兆9,000億円でしたので、南海トラフ巨大地震がいかにとんでもない規模の被害をもたらすのかがお解りいただけるものと存じます。
さらに恐ろしいのは、江戸時代の宝永地震や安政地震のときがそうであったように、歴史的には首都直下型地震と南海トラフ巨大地震は連動して発生していることです。
どちらが先かは毎回異なっています。
例えば、南海トラフ巨大地震により太平洋ベルト地帯に大津波が押し寄せ、そこに首都直下型地震が加わった場合、おそらくは日本のGDPは200兆円を切ってしまうでしょう。
なぜなら、仮に人的被害を最小限にくい止めることができても、生産資産がことごとく破壊されてしまえば、経済活動(生産活動)を行うことはほぼ不可能です。
もしもそうなった場合、我が国はアジア最貧国に没落することになります。
何より愕然とするのは、こうした事態に直面しているにもかかわらず、政府や政治家たちに全く危機感がないことです。
国土強靭化に費やされている予算がごくわずかであることが、そのことを物語っています。
私が最も気に食わないのは、議員や役人の多くが「防災は自助、共助、公助の3つが大事だ…」と偉そうに言っていることです。
議員や役人は国土強靭化という「公助」の確立のみに専念するべきであって、遅々として進まぬ公助(国土強靭化)を棚にあげておきながら国民に自助・共助を求めるべきではない。