ここのところ、為替安に伴う輸入物価高騰は少し落ち着きつつあるようですが、それとは別に人手不足によるインフレ化が我が国では始まっています。
人手不足によるインフレ化は、サービス量の低下というかたちで顕れますが、むろん、この種の供給制約型のインフレは私たち日本国民を裕福にはしてくれません。
私たちが豊かになるためのインフレは、国内需要が拡大することにより物価が上昇する「デマンドプル型のインフレ」でなければならない。
それに、日本国民が「消費を増やす」ことで国内需要が拡大することがもっとも望ましい。
では、日本国民が「消費を増やす」かたちで国内需要を拡大させるためには何が必要でしょうか?
言わずもがな、「実質賃金」が上昇することです。
少なくとも2〜3年は継続的に上昇してもらわないと困ります。
しかし、ご承知のとおり1997年以降、我が国の実質賃金は下がりに下がり続けています。
「・・・」
さて、きのう総務省から発表された『家計調査』によれば、ことし1月の実質消費は前年同月比でマイナス6.3%となりました。
ちなみに、上のグラフのとおり、2023年1月の実質消費も前年同月比でマイナスでしたので、それよりもさらにマイナス6.3%ですから、その下がり具合の半端なさがお解りいただけるものと思います。
しかも、11ヶ月連続のマイナスです。
国内需要が萎んでしまうのも宜なるかな。
2024年1月の消費支出を指数でみますと96.6(2020年=100)となっていますので、2020年の日本国民は100個のパンを買うことができたのに、今は96.6個しか買うことができなくなったわけです。
購買力の低下は国民の貧困化を意味するのはご承知のとおりです。
恐るべきは、この国民の貧困化現象を国会議員やマスコミが問題視していないことです。
彼ら彼女らは、北朝鮮のミサイルに慣れてしまったのごとく「国民の貧困化…」に慣れてしまったのでしょうか。
本来、少子化であろうが何であろうが人手不足は生産性向上による経済成長を実現し、デフレや供給制約型インフレを払拭できる大きなチャンスです。
ですが、この「人手不足」が与えてくれたせっかくのビックチャンスを叩き潰しているのが、政府によるPB黒字化目標、あるいは度重なる消費税増税など、つまりは緊縮財政なのでございます。