私たちが日常で使用している家電製品や自動車やスマホには、必ず半導体が使われています。
金属や水は電気を通しますが、ゴムやプラスチックは電気を通さない。
半導体はその両方の性質を持っている素材であり、「電気を通す、通さない…」を瞬時に切り替えられるということで、現在の製造業には欠かすことのできない要素です。
ゆえに半導体は「産業の米」「近代の石油」とも呼ばれ、半導体なしでは何も作れないと言っても過言ではありません。
お若い世代の方々はご存知ないかもしれませんが、今から約30年前、日本の世界半導体シェアは49%を占めていました。
世界に流通する半導体の半分は、日本製だったのでございます。
とりわけ、我が国が得意としていたDRAM分野では、80%の世界シェアという脅威の数字を誇っていました。
すなわち、日本の半導体なしには車もパソコンも携帯も電化製品も何も作れない、かつてはそんな時代があったのです。
しかしながら、これを疎ましく思った国があります。
疎ましく思うのも当然で、その国が生産する半導体の故障率は日本の4.5倍だったというのですから。(10倍という説もあり)
それでいて値段も日本製よりも高い。
これでは売れるはずもない。
まともに競争しても勝てないがゆえに、策略により日本の半導体産業を貶めていくことを考えました。
策略による貶めは、その国が最も得意とするところです。
その国の策略と、むろん日本の政治の戦略的欠如もあって、我が国の半導体産業はみるみる衰退していったのでございます。
今では、日本の世界における半導体シェアは6%となっています。
ただ、シリコンウェハと呼ばれる半導体の素材については、世界シェア50%を占めています。
シリコンウェハとは、半導体の基板となる素材で、まさに半導体の原材料です。
ざっくり言うと、シリコンのインゴットを作り出し、それを薄くスライスして作られるのがシリコンウェハです。
薄くスライスされたシリコンウェハは、世界中のあらゆる物質の中でも最も高い平坦度を誇り、微細な凹凸や微粒子を限界にまで排除されたものです。
シリコンウェハの表面が平坦であればあるほど高性能であり、あらゆる電子機器の性能向上につながるのは言うまでもありません。
その技術において、日本メーカーは世界を抜きん出ています。
なんと世界1位の信越化学工業、世界2位のSUMCOの2社で、世界の半分のシリコンウェハを出荷しているというのですから凄い。
良い半導体を持つことが国力に直結する時代が到来していると言っても過言ではないなか、良質のシリコンウェハを作れることは大きなアドバンテージかと思われます。
この優れた技術が、例によって他国に奪われたり、あるいは他国の策略によって素材分野においても再び凋落の憂き目をみることのなきよう、ただただ政治に願うばかりです。