昨年(2023年)10月、消費税の税率や税額を請求書に記載する「インボイス制度」が導入されました。
あれから4ヶ月が経ちましたが、この2月から本格化する確定申告で初めて消費税を納税する事業者数は約140万に達するらしい。
事業者の負担と手間が増えるのは当然として、この混乱を抑制するために税務署側もまた相談・サポート体制を手厚くするという。
実にバカげています。
繰り返しますが、インボイス制度は単なる「増税」です。
まず、発注者の取引相手(免税事業者)がインボイスではない場合、支払った額を課税仕入に計上することはできません。
そのため、発注者の消費税納税額は増えることになります。
現在は経過措置で8割を課税仕入に入れられますが、これも6年後には無くなります。
例えば、ある企業の営業マンがタクシーに乗ったとします。
そのタクシーが発行する領収書に「Tからはじまる番号」がない場合、8割しか課税仕入に入れられないため、その時点でその企業の納税額は増えます。(6年後には10割が課税仕入に入らない)
一方、免税事業者がインボイスを発行すると課税事業者となって消費税を支払わなければなりません。
要するに、いずれにしても誰かしらの消費税負担額が増えるわけです。
現在の日本経済が「増税」を必要とするような状況にないことはご承知のとおりです。
ちなみに、消費税額(税率10%)の計算方法は、以下のとおりです。
「消費税額 =(課税売上-課税仕入)÷110x10」
しかも面倒くさいのは、もしも発行したインボイス(請求書)に不備があった場合、「やり直し」を求めなければならないことです。
ある調査によれば、企業が受領したインボイスの約20%に不備があったらしいのですが、税制を複雑にしてしまうと経済の生産性が下がります。
特に問題なのは「インボイスを発行しないのであれば取引を打ち切る」というケースが頻発していることです。
私の地元でもインボイスを発行していない飲食店さんがおられますが、「もう企業客は諦めた…」と嘆いておられました。
それにつけても消費税については、多くの誤解があります。
そもそも消費税は「消費者に課せられた税金」ではなく、課税事業者の売上に課せられた税金です。
いわば第二法人税なのでございます。
事業者が納める「第二法人税」の負担を消費者に求める、これが消費税です。
なお消費税は、日本経済がデフレから脱却できない最大の要因になっているとも言っていい。
何より消費税は、消費を抑制させるための税金ですから。