止まらぬ東京一極集中

止まらぬ東京一極集中

東京一極集中が止まらない。

きのう、総務省から2023年の『住民基本台帳人口移動報告』が公表されました。

下のグラフのとおり、東京圏人口の転入超過がずっと続いてきましたが、新型コロナの感染症法の取り扱いが2類から5類に引き下げられたこともあってか、31の道府県での人口流出が前年より拡大した一方、東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県、いわゆる東京圏への転入超過数が更に増えはじめています。

とりわけ、生活コストが高く出生率の低い東京への人口集中は、更なる少子化につながる可能性が高い。

その点については、国(政府)も理解しているようです。

2014年12月に閣議決定された『まち・ひと・しごと創生長期ビジョンについて』には次のような記述があります。

少し長い文章ですが、そのまま引用します。

「東京圏への人口の集中が、日本全体の人口減少に結び付いている。地方から大都市に人口が移動していく現象は、決して先進国に普遍的なものではない。 〜 中略 〜  日本の場合は、このまま推移すると、『過密の東京圏』と『人が極端に減った地方』が併存するような形で人口減少が進行していく可能性が高い。そして、こうした人口移動は、厳しい住宅事情や子育て環境などから、地方に比べてより低い出生率にとどまっている東京圏に若い世代が集中することによって、日本全体としての人口減少に結び付いていると言える」

この認識は正しい。

問題は、そのソリューションです。

東京圏への一極集中状態を逆転させるための政策は、インフラ整備と税制優遇が最も効果的であると考えます。

このことは、むろん「地方創生」にもつながります。

まずは道路網や新幹線網を整備することで全国をネットワーク化し、港湾の整備、治水・防災対策等々のインフラ投資を長期的かつ大規模に行うことで、東京圏と地方の生活面、ビジネス面の格差を解消しなければなりません。

交通網がネットワーク化されるだけでも、地方の商圏は確実に充実拡大します。

さらには、地方移転する企業や家計に対して税制優遇措置を講じるべきです。

実は、政府は既に企業の地方移転に対し税制優遇措置を設けています。

いくつかの企業が本社機能等を地方に移しているのはそのためです。

よって、企業のみならず、家計レベルにおいても地方移転に対する何らかの税制優遇措置を検討してみてはどうか。

それにつけても、今なお東京一極集中に歯止めがかからないのは、とりわけ地方のインフラ整備が遅々として進んでいないからだと思います。

暫定2車線道路の割合が、未だ高速道路総延長の3割以上をも占めているようでは全く話になりません。