地震による家屋倒壊や火災、あるいは津波によって命を落とされる人々がいる一方、せっかく地震や津波から身を守ることができても、その後の避難生活の段階で死亡されてしまうケースも少なくありません。
それがいわゆる「災害関連死」です。
例えば熊本地震の際にも、74歳の女性が避難中の車内において疲労による心疾患でお亡くなりになられたケースがありましたし、避難生活の疲労等が過度に重なり心不全で死亡された78歳の男性もおられました。
あるいは、慣れない避難所生活から肺炎状態となって入院先の病院で死亡された83歳の女性もいましたし、地震のショックと余震への恐怖が原因で急性心筋梗塞により死亡された女性(この方も83歳)もおられました。
不便な避難生活が続いたことで栄養障害となり、やがて持病が悪化して死亡された88歳の男性もいましたし、年齢が若くとも、エコノミー症候群の疑いで死亡された女性もおられました。
ゆえに、避難所における生活環境の改善は行政としても喫緊の課題となっています。
災害関連死を減らすためにはその数や内容を正確に把握しなければならないわけですが、意外にも災害関連死が定義されたのは熊本地震以降であり、わりかし最近の話です。
国が示した市町村向けの指針(避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針)には、発災後に簡易ベッドや簡易台所を整備するなど、生活環境の改善対策を講ずることが盛り込まれているところですが、なんと言っても肝心なのは、各避難所において安全で良質な水が充分に確保されていることです。
熊本地震の例をみても、災害関連死の多くはご高齢者であり、死因の多くは心疾患と肺炎です。
なんと心疾患と肺炎の2つで50%以上を占め、肺炎だけでも25%を超えます。
とくに肺炎を予防するには、避難生活者の口腔内ケアが重要になります。
医療関係者によれば、この口腔内ケアを怠ると肺炎リスクは数段に高まるとのことです。
また、そのために必須なのが「安全で良質な水」です。
残念ながら、能登半島地震の被災地(避難所)でも水が不足していると仄聞しております。
平時であれ有事であれ、水こそ、まさにライフラインそのものです。
川崎市(多摩区)には生田浄水場という日量9万3000トンもの「水」を供給できる浄水施設があったのですが、経費削減の名のもとに廃止されてしまいました。
「経世済民」の意味が理解できていない人たちが政治・行政を担うと、こうなります。