神々のハーブか、悪魔の草か

神々のハーブか、悪魔の草か

アサ科アサ属の一年草でギザギザの葉っぱが特徴的な植物といえば、大麻。

過日のブログでもご紹介しましたとおり、大麻は古来より我が国にとって神聖な植物の一つです。

例えば、神宮(天照皇大神)の御札(おふだ)は「神宮大麻」ですし、大相撲で横綱が土俵入りの際に腰に締める太い綱もその素材は麻であり、縄文時代の縄文の「縄」も麻縄です。

この植物には雄花と雌花の区別があり、未受粉の雄花の花穂(かすい)と呼ばれる部分に、いわゆる「ハイテンション」になる成分が多く含まれているため、国によっては娯楽目的に使用されているのはご承知のとおりです。

しかしながら、大麻という植物は、繊維の製造、食料としての利用、油の抽出、酩酊物質や医薬品としての利用など様々な用途があり、一万年前の時点で人の手により栽培されていたと考えられています。

我が国において大麻が「マヤク」としていかがわしいものとされたのは占領時代の1948年以降のことで、それを命じたのはむろんマッカーサー(SCAP)であり、日本独自の判断ではありません。

以来、日本においてこの植物を所持、譲渡、栽培することは大麻取締法により規制されています。

マッカーサーが日本の大麻を取り締まった背景には、米国が自国の油脂、繊維関連産業を保護するため、その脅威となる日本の大麻草を排除することが狙いであったとする説、あるいはGHQが「日本兵の精神の強さは神道や仏教にある…」と考え、それらの行事で使用される大麻を絶対悪としたとする説などがあります。

ところが近年、この規制(大麻取締法)が世界規模での大麻合法化の流れに逆行するようになりました。

例えば、この法律を押し付けた米国では、連邦レベルでは現在も違法なのですが、36州と4つの地域で、なんらかの形での州内での利用が合法化されています。

ほかにも、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、オーストリア、スペイン、ポルトガル、ジョージア、メキシコ、ウルグアイ、コロンビア、南アフリカ、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ジャマイカ、チェコ、マルタ、タイ、イスラエルなどにおいて医療用大麻を合法としています。

因みに、カナダとウルグアイなどに至っては嗜好品としてもOKとしており、ドイツもまた嗜好品としての大麻を解禁する予定らしい。

嗜好品としてはともかく、大麻が「医療用の薬」として世界的に見直されていることは確かなようです。

こうした世界的な流れを受け、我が国においても大麻草を原料にした医薬品の使用を認める一方、若者などの乱用を防ぐため、使用の禁止を盛り込んだ『改正大麻取締法』が昨年12月の国会で成立しました。

マッカーサー以来、学校教育で絶対悪として教え込まれてきた大麻ですが、専門家によればその医薬品としての効果は高く、薬としては覚醒剤、コカイン、アヘン、ヘロインなどの一般的なマヤクとは一線を画すものらしい。

また、「確かに人の心を不自然に動かし依存性さえあるものの、その作用は比較的マイルドであり、常識ある大人であれば充分に制御可能だ」と言い切る専門家もいます。

何が本当にダメなのか、どのような使用法であれば許容され得るのか、あくまでも法律を遵守しつつ、科学的な根拠をもってこの問を続けていくことが大切ではないでしょうか。

少なくとも「絶対にダメ…」という思考停止が正解でないことだけは確かなようです。