なぜ予備費なのか…

なぜ予備費なのか…

政府には、文科相を本部長とする「地震調査研究推進本部」が設置されています。

そのなかに設けられている地震調査委員会が、今回の能登半島地震の震源域について次のように発表しています。

「震源域の断層の動きを専門家が分析した結果、震源域は能登半島の西から北東にかけてのおよそ150キロの範囲におよび、これまでに確認されている複数の活断層が関係している可能性が高い」と。

また、「能登半島の北東にある断層がほとんどずれ動いていなかったことも分かった」という。

なお専門家らは、この断層で規模の大きな地震が発生すると新潟県の沿岸に津波が押し寄せるおそれもあるとして注意を呼びかけています。

この領域では9日にもマグニチュード6.1の地震が発生していますので、もしも新たにマグニチュード7級の地震が発生した場合、佐渡を含む新潟県の沿岸に高さ3メートル程度の津波が押し寄せる可能性もあると指摘しています。

いずれにしても予断は許されないところですが、天災は避けられないものの人災は避けられます。

かけるべきところにおカネをかけないことによって生じてしまった災いは、これすなわち人災にあらずや。

さて、来年度予算を編成した岸田内閣は、当初5,000億円だった予備費を能登半島地震への対処として、さらに5,000億円を増やして1兆円にしました。

財務省の御用新聞どもは「政府は予備費を増やした」と大仰に記事にしていますが、たったの5,000億円です。

そもそも、なんで予備費なの?

しかも、その予備費も本年度のものではなく来年度のもの。

今年度の予備費が未だ4,000億円以上も残っているのですから、さっさと使えばいい。

寸断した道路を通れるようにするにも、破壊されたインフラを再構築するにも、それなりの費用が必要となります。

なので、ふつうに本年度の補正予算を組めばいいはずですが、なぜか来年度の予備費。

予備費というのは、何に使うのかは予め定めない「予算」です。

時の内閣が、その時々の状況に鑑みて臨機応変に使途を決定するというものです。

よって、その予算(予備費1兆円)が本当に被災地の支援、復旧・復興のために使われるかどうかはわからないのです。

当たり前ですが、「予備費は確保してあります…」と言われても、行政として予算執行を決定しなければ復旧・復興のためのおカネは支出されません。

ゆえに、執行段階で行政決定を躊躇するリスクがどうしてもつきまといます。

来年度の予備費として予算を膨らませているのは、やはり「できるだけおカネを使いたくない…」という緊縮財政思想の現れです。