日航旅客機516便と海保の航空機が衝突炎上した事故により、5人の海上保安官がお亡くなりになられたことは誠に残念です。
なにより、海保の航空機は能登半島地震の被災地に物資を運ぶ途中だったとのことですので。
一方、日航516便は機体が全損したにもかかわらず、乗員乗客379名(乗員12名、乗客367名)全員が無事に脱出できたのは不幸中の幸いでした。
日本航空は、平素から90秒以内に全ての乗客を避難させる訓練を徹底していたようですので、これは奇跡というより、日本航空クルーの平素の訓練鍛錬の賜物だったのではないでしょうか。
きのう国土交通省は、管制官と双方の機体との当時のやり取りを公表しましたが、ぜひ事故の原因究明を徹底してほしい。
さて、能登半島地震から3日目となりました。
人命救助は災害が発生してから72時間が勝負と言われていますが、そのタイムリミットが迫りつつあります。
本日も震度5強の地震が発生しており、雨と寒さの中での避難生活が続いています。
とりわけ、市内6000世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊した珠洲市では、道路が寸断されたままで、支援物資を送り込むことが極めて難しいとのこと。
こういうときに道路網がネットワーク化されているか否かが、運命の分かれ道になってしまいます。
我が国では、総理大臣経験者の一人が「たぬきしか通らないようなところに道路を作っても仕方がない…」などと発言していましたが、そういう道路こそがいざという時に「命の道」になることを理解すべきです。
我が国には未だに高速道路建設に反対する人たちがいますが、高速道路に限らず道路建設は、非常事態発生時に自分や家族を助けるための安全保障ツールであることを認識してほしい。
上の図(図1)をご覧のとおり、A地点からF地点まで行くためのルートが放射線道路のみで結ばれている場合、そのルートは一つしかありません。
これが図3のように、環状線の整備によりネットワーク化されると17通りになります。
しかも、こうした公共投資によるインフラ整備は、災害時のみならず、平時の経済活動においても生産性の向上、つまり供給能力を強化させることが可能となります。
人口減少(生産年齢人口比率の低下)によって労働力が不足する日本だからこそ、こうした生産性向上のための投資が必要になるのでございます。
重要なのはおカネ(札束)ではありません。
モノやサービスをつくる力、それらを必要とする人たちに届ける力、すなわち供給能力です。