今日(12月14日)、2024年度の与党税制改正大綱が決定されます。
翌年度の税制改正については、事実上、与党の税制調査会という組織が決める権限を持っています。
政府(岸田内閣)は、与党税制改正大綱と同じ内容を閣議決定し、翌年の通常国会に税制改正関連法案として提出することになります。
因みに、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成します。
ご承知のとおり、国会に提出された法案は余程のことがない限り、ほぼ原案で可決成立することがほとんどです。
よって、きょう決定される与党の税制改正大綱が実質的な最終決定となります。
昨日にまとめられた与党の税制改正大綱案をみますと、例えば来年実施する所得税などの定額減税は、年収2,000万円超を対象外とし再来年の実施に含みを残しつつ、防衛力強化のための財源確保を目的とした増税については、昨年につづき開始時期の決定を先送りしたようです。
与党であれ、政府であれ、税制調査会が「税収=財源」という誤った理解をしているかぎり、正しい結論に至ることはあり得ません。
何度でも言いますが、資本主義における政府というものは、その支出の財源を確保するための徴税を必要としていません。
資本主義国家においては、政府の需要(その便益を享受するのは国民)に対し、中央銀行が貸し出しを行うことで貨幣が「無」から創造されます。
すなわち、政府が債務を負い、支出を行うことによって貨幣は供給されるのでございます。
これが資本主義国家における財政の仕組みです。
したがって、政府は支出にあたり税収という財源を必要とはしません。
しかも政府は、国債の償還財源を確保するために新たに国債(借換債)を発行することもできますので益々もって徴税の必要などないわけです。
また、償還にあたっては、景気が悪ければ借換債を発行し、景気が過熱し過ぎているのであれば増税するなど、その時々の経済状況に応じて判断すればいい。
これらのことは、なかなか理解され難いことでしょうが、為政者たちは次の三つの事実だけは素直に受け入れてほしい。
1.政府が債務を負って支出することで、民間経済に貨幣が供給される
2.民間経済に貨幣を循環させるためには、政府債務はむしろ必要
3.政府債務は完済しなければならないものではない
ゆえに、政府債務を増やしても、それは決して「将来世代への負担先送り…」にはならないのでございます。