ヨーロッパでは、EVシフトが大失速しているらしい。
EVシフトとは、明らかにトヨタ潰しを目的にした政治的産物だと私は思っています。
トヨタのプリウス(ハイブリッド車)が世に登場した際、欧米の自動車メーカーは、そのハイブリッド技術の高さに驚愕したという。
それはそれは、彼らでは到底真似のできないメイドイン・ジャパンの技術力だったわけです。
このままでは世界の自動車市場がトヨタに席巻されてしまう、との恐怖心から、「そうだ、トヨタを潰すために、これからは全てのクルマを電気自動車(EV)にしてしまえばいい…」と考えたのだと思います。
例えば、ヨーロッパの代表的な自動車メーカーの一つであるフォルクスワーゲンはEVへ軸足を移してきました。
そのフォルクスワーゲンが今年3月に発表した今後5年間の投資計画では、1,800億ユーロ(約27兆円)の巨額投資のうち、7割近くをEVやデジタル関連に振り向ける方針が強くアピールされていました。
しかしながら、EVの購入価格の高さ、ランニングコスト、利便性の問題もあって消費者から大きな不満が出はじめています。
特にコスト面の高さが大きな問題点になっているようです。
ヨーロッパでは「金持ちしか自動車を保有できない時代が来る…」などとも言われ出す始末です。
こうしたことから、EVモデルの生産を一時的に縮小する措置をとっている自動車メーカーも出ています。
例えば、ニーダーザクセン州にあるフォルクスワーゲンの工場では、EV生産ラインで働く従業員の作業シフトが強制的にキャンセルされるなどしています。
EVの需要は、当初予定されていた生産台数を最大30%下回っているという報道もあります。
ニーダーザクセン州のリース経済相は「懸念されるのは、フォルクスワーゲンだけでなく、今では全メーカーのEV需要が落ちこんでいることだ…」と述べています。(ノース・ウェスト紙)
EV販売が勢いを失っている以上、フォルクスワーゲンのみならずEVメーカーは生産を縮小せざるを得ないでしょう。
需要のないところに投資はありません。
それに、EV市場は未だディーゼル市場レベルの規模にまでは及んでいない一方、潰したいと願っていたハイブリッド車も実はまだまだ市場を拡大しています。
EVについては、そもそも充電ポイントの少なさが指摘されており、環境面においてもハイブリッドのほうがエネルギー効率が高いことも指摘されていました。
加えて、EV需要が低下しているもう一つの要因は、緊縮財政にこだわる各国政府が、財政負担の嵩む「EV購入を拡大させるためのインセンティブ制度」を次々に廃止していることにあるらしい。
もともとヨーロッパの価格体系では、中国製EVには勝てないし。
一方、トヨタは、EVシフトが取り沙汰されていた中にあっても、確固たる信念をもって「全方位戦略」という独自方針を貫いてきました。
要するに、EVに集中投資することはしなかったのです。
例えば、水素エンジン車、燃料電池車、ハイブリッド車などなど、様々なジャンルの自動車の技術開発を行い、一つのジャンルに特化することはしませんでした。
むろん、EVを無視しているわけでなく、あくまでもEVを手段の一つという立場で取り扱ってきたわけです。
EVシフトに流されなかったことで、世間からは「トヨタは時代遅れだ…」などと批判されることもありましたが、今ではそのことが功を奏しています。
EVシフトが失速しているヨーロッパでも、トヨタの全方位戦略が再評価されているようです。
やはり、日本企業の活躍は嬉しい。