11月のNHK世論調査によれば、岸田内閣の支持率は発足以降、最も低い29%となりました。
支持率20%台は、NHK的には「危険水域」です。
一方、時事通信が11月10から13日にかけて行った世論調査では数字はもっと低くでています。
内閣支持率は21.3%で、自民党支持率は19%でした。
いわゆる「青木の法則」というのをご存知でしょうか。
「内閣支持率と自民党支持率を足し合わせても50%に至らない場合、内閣は瓦解する」という、元自民党参議院の故青木幹雄さんが提唱した法則です。
すなわち、時事通信の世論調査では、その法則が適用される水準にまで落ち込んでいるということです。
そうしたなか、きのう(11月20日)、岸田内閣の新たな経済対策の裏付けとなる今年度補正予算案が国会で審議入りしました。
因みに、11月27日からは川崎市議会において12月定例会がはじまりますが、国会で「補正予算」が成立すると、それが各地方自治体に割り振られ、今度は各地方議会でその自治体の補正予算案と関連条例案を審議しなければならないがために、地方自治体では毎年12月に定例会が開催されるわけです。
さて、岸田総理は今回の経済対策について、「2024年の夏に所得の伸びが物価上昇を上回る状態をつくるために必要な対策だぁ」と強調していますが、「国民に還元する」とした税収の増加分については、鈴木財務相が「すでに支出していて、減税を行えば、国債の発行額が増える」という認識を示しており、内閣として実にちぐはぐな対応となっています。
岸田総理と鈴木財務相の発言の食い違いについては、実は鈴木財務相の発言のほうが正しい。
いつも言うように、政府への納税は貨幣の消滅です。
納税された時点で国債と相殺され、この世から貨幣が消えてしまうために「還元できる財源」など存在しません。
ゆえに減税すれば、鈴木財務相の言うとおり新たな国債発行が増えることになります。
ただ、鈴木財務相が間違っているのは、「国債発行は将来へのツケだから減税しないほうがいい」というニュアンスで説明しているところです。
野党側からも「事実と違うので、『還元』の発言を修正すべきだ」という批判が出ていますが、野党は野党でこのことを正確に理解しているのかどうか怪しい。
なぜなら「防衛力強化や少子化対策などの財源確保も必要なのに、なぜ今、減税なのか?」という反論をしているからです。
因みに、NHKも同じような批判をしていました。
相変わらず彼ら彼女らは「税収は財源」と思い込んでいるようです。
当該ブログをご愛読下さっている皆様には耳に(目に!?)タコができるかもしれませんが、繰り返します。
税収は財源ではありません。
新たな貨幣発行こそが財源です。
岸田総理が「2024年の夏に所得の伸びが物価上昇を上回る状態…」をつくっておきたいのは、むろん2024年秋の自民党総裁選挙までに景気を立て直しておきたいからでしょう。
なので、解散総選挙も来年の夏以降ということになりましょうか。
ただ、岸田総理が「所得の伸びが物価上昇を上回る状態…」をつくるためには、新たな貨幣発行や減税に抵抗する財務省との闘いは必至です。
むろん、岸田総理はその闘いには勝てない。
日本国民(国民経済)の本当の敵は財務省です。