ガソリン価格が高騰しています。
きのう(11月15日)資源エネルギー庁が発表した全国のレギュラーガソリンの平均価格は1リットル173円50銭で、政府が石油元売り会社に支給する補助金によって31円抑えられているものの、10週間ぶりの値上がりとなりました。
もしも政府による補助がなかったとした場合、ガソリン価格は200円を超えます。
因みに、政府がガソリン価格を抑制するために投入される予算は概ね6兆3千億円程度になる見通しです。
これを多いとみるとか、少ないとみるか。
毎度おなじみの「財政破綻論者」「緊縮財政論者」「商品貨幣論者」の皆様がたは、例によって「財政が悪化するぅ〜」と騒いでいます。
私なんぞは、もっと政府がカネを出して、できれば1リットル150円ぐらいにまで抑えてほしいと思います。
昨年の1月に政府が初めて補助を行った時の円相場は、1ドル115円前後でした。
ご承知のとおり、現在は1ドル150円台となり30%も円が値下がりしています。
その分、円建ての原油輸入価格が値上がりしているわけです。
経済産業省の試算では、補助金が無い場合のガソリン価格が現在の200円台から185円程度まで下がるには、原油価格の水準が現在の1バレル80ドルから85ドル程度にとどまった場合でも、円相場は1ドル130円程度まで値上がりする必要があるとのことです。
といって、円相場を1ドル130円程度まで押し上げるのは現実的に難しい。
ガザでの戦闘が激化するなど、中東情勢が不安定化しているなかでは原油価格の高騰も避けられません。
加えて1ドル150円台という円安状態にあるわけですから、政府が財政政策によってガソリン価格を抑制していくほかはないでしょう。
できれば消費税を減税するか廃止するか、もしくはガソリン税のトリガー条項の凍結を解除すべきです。
巷には「日米の金利差が円安要因になっているのだから、はやく金融政策を転換して金利を引き上げればいいじゃないか…」と主張する人たちがおりますが、〇〇も休み休み言ってほしい。
そもそも、どうして日銀が低金利政策を行わざるを得ないのかを理解できないのでしょうか。
日銀が金融緩和をせざるを得ないのは、企業への貸出しが増えないからです。
むろん、金利を下げたからといって企業への貸出しが増えるわけではないのですが、貸出しが増えない状況下で金利を引き上げてしまうと景気は致命的に悪化します。
これは「金融政策の紐理論」と言われるもので、紐は引くことができても押すことができない。
ゆえに日銀は、金利を引き上げたくとも上げられないわけです。
いつも言うように、企業への貸出しを増やすには政府が財政政策によって需要を創出することです。
需要こそが、貸出しを増やす(預金通貨を増やす)のですから。
今後も原油価格を大幅に上昇させる懸念材料がいくつかあります。
まず、イスラエルによるハマスへの攻撃が一段と激しさを増した場合。
次いで、ハマスを支援するイランを巻き込んだ中東全体の紛争に拡大してしまった場合。
さらには、サウジアラビアなどアラブの産油国がパレスチナへの連帯を示すため、世界中の親イスラエル国に対して原油の輸出を停止してしまった場合。
どうなるか。
いずれにしても当面は、ガソリン価格が値上がりしやすい状況に変わりはなさそうです。