ガザを実効支配するハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けたのをきっかけにはじまった、ハマスとイスラエルによるパレスチナ紛争ですが、イスラエル軍はガザへの空爆攻撃を強化しているようです。
きのう12日、イスラエル軍はガザ北部の難民キャンプでの作戦開始を新たに発表しています。
どうやらイスラエルは、ハマスの司令部がガザ北部の地下にあるとみているようで、ガザ北部の複数の病院周辺でも戦闘が激しくなっている模様です。
紛争の次なるポイントは、イスラエルと敵対しハマスを支援してきたイランが、この紛争に本格的に介入するかどうかにあります。
もしもそのようになった場合、いよいよ第3次世界大戦への突入になるかもしれない。
ただ、ハマスが大規模攻撃を実行した先月の7日、イランは称賛と支持を表明したものの「攻撃はハマスが自らの意思で行ったものだ…」として、イランの関与については強く否定していました。
ところが、ここにきて、イランと関係を持つ武装組織がイスラエルを攻撃するニュースが相次いでいます。
ヒズボラ(レバノンのシーア派組織)、イエメンの反政府組織フーシ派などが、イスラエルに対してミサイルやロケット弾を使用した越境攻撃を繰り返しています。
こうした攻撃が、今のところ限定的なレベルにとどまっているのが幸いです。
中東情勢の専門家らは「今のところ、中東全体を巻き込むような大きな紛争に発展する可能性は低い…」とみているようです。
とはいえ、予断は許されない。
先週、イランの最高指導者であるハメネイ師は、ハマスの最高幹部ハニーヤ氏と会談したなかで、イスラエルとイスラエルを強力に支援している米国を猛烈に非難していました。
また、イランは、イスラム諸国に対してイスラエルへの石油の輸出禁止を呼びかけるなど、対決姿勢を強めています。
一方、米国とイスラエルにしてみれば「イランとの直接的な軍事衝突は避けたい」というのが本音でしょうが、偶発的な衝突をきっかけにして紛争が拡大してしまうリスクは常に存在します。
ご存知のとおり、我が国は中東にエネルギーの多くを依存しています。
よって、中東地域での地政学リスクの高まりは国民生活に直結する一大事なのですが、といって日本が主体性をもって外交的にできることなどほとんどない。
ただ、退潮しつつある米国様に言われた範囲でのことをやるだけでしょう。
残念ながら、これが戦後日本(未だ占領体制下にある日本)の現実です。