財務相はきのう(11月10日)、9月末時点での我が国の国債と借入金の残高を発表しました。
お約束のとおり各メディアは、「いわゆる国の借金…」として報道しています。
例えば日本経済新聞などは「国債と借入金、政府短期証券を合計したいわゆる『国の借金』が9月末時点で1275兆6116億円だった」と記事にしています。
しかも許せないのは、「税収で返済する必要のある普通国債の発行残高は…」という書き方で、まるで国民が税金で返済しなければならないが如くの記事にしていることです。
何度でも言いますが、政府の国債発行残高は増えていくのが当然であり、それが世界の常識です。
そもそも「政府の負債」であり「国の借金」ではありません。
財務省はわざとメディアらに「国の借金」と言わせています。
おそらくは「政府の負債」と言うより「国の借金」と言わせたほうが、国民に対して財政危機の印象を与えやすいからでしょう。
これも何度でも言いますが、政府の負債は完済する必要がないのでございます。
現に日本の国債運用は借り換え(ロールオーバー)の連続であって、実質的に税収で返済などしていません。
だからといって最終的に孫子の世代が完済しなければならないわけでもなく、国債残高がゼロになる日は永遠にやってきません。
よって、日本経済新聞の「税収で返済する必要のある普通国債の発行残高は…」という記事は実に悪質です。
もしも「国の借金」と言うのであれば、日本(政府、企業、家計)が外国から借りているネットの金額をみるべきです。
日本が海外から借りているおカネの総額のことを「対外負債」と言い、一方、日本が海外に貸し付けているおカネの総額のことを「対外資産」と言います。
対外負債残高から対外資産残高を差し引いたとき、もしも対外負債残高のほうが多ければ、それこそがまさに「日本国の借金」です。
では、今年3月末時点での日本の対外負債残高はいくらでしょうか。
財務省の発表によれば、919兆6,079億円とのことです。
一方、対外資産残高は、1,338兆2,364億円です。
差し引きすると、なんと我が国は対外純資産国です。
しかも、その額は418兆6,285億円で、これは世界最大の純資産額です。
ご承知のとおり、おカネ持ちかどうかは「純資産額」の大小で決まります。
すなわち、国家でみた場合、わが日本国はまごうことなき世界最大のおカネ持ち国家です。
国際収支をみると明らかなように、我が国は海外で働く日本国民の雇用者報酬、あるいは巨額の対外資産からあがる利息や配当金が多いため、第一次所得収支が大きい。
それが経常収支を大幅に黒字化し、日本を世界一のおカネ持ち国家にしているのでございます。
こうした事実を、絶対に日本のメディアは報じてくれない。