先週、中国の李克強前首相がお亡くなりになられました。
きのう(11月2日)、北京でご遺体が火葬されたらしい。
当局は、李克強氏の死を悼むムードが全国的に拡大し、それが政権批判につながらないよう警戒を強めているようです。
さて、私個人としては、政治家・李克強は中共幹部ながらも興味深い人物でありました。
李克強氏が遼寧省党委書記を務めていたころ、たしか2007年ころの話だったと記憶しておりますが、当時のクラーク・ラント駐中米国大使との会食のなかで、氏は「中国のGDP統計は人為的であるため信頼できない」との見解を示しました。
そのように大胆に言われてしまうと、おそらくはラント駐中米国大使も大いに面食らったことでしょう。
李克強氏としては内密に述べたつもりなのでしょうが、その後、ウィキリークスによって暴露されました。
漏らしたのは、むろん米国サイドでしょうけど。
李克強氏は、①電力消費量、②鉄道貨物輸送量、③銀行融資残高を指標にすることで正確な経済規模を把握できるとしています。
なぜなら、これらは地方政府が改竄できない仕組みになっているという事情があります。(中国では地方政府が地域のGDPを算出して北京に報告する体制をとっています)
この①②③の三つを組み合わせた指数は「李克強指数」と呼ばれ、中国国内外の金融機関において、中国経済の実態を計るのに今なお広く使われているらしい。
因みに遼寧省では、2011年から2014年までの4年間の税収を含め、GDP統計などを水増ししていたことが2017年に発覚しています。
むろん、李克強氏からすれば何ら驚くに値しない事件だったでしょう。
言うまでもなく、おそらくこれは氷山の一角で、他の地方でも多かれ少なかれ水増しをしている可能性は充分にあります。
ただ、こうした中国の現状を嘲笑えないほどに、我が日本国の統計発表も実に怪しくなっています。
昨日のブログでも取り上げましたように、政府(内閣府)が発表しているGDPギャップ(デフレギャップ)は明らかにインチキです。
潜在GDPの定義を「最大概念」から「平均概念」に変えたり、あるいはコロナ禍で失業した人たちを労働力から取り除いたりして、統計上のGDPギャップ(デフレギャップ)を実態よりも小さく見せています。
デフレギャップが大きいと、政府は財政支出を拡大しなければならないので、それを避けるための統計操作なのは明らかです。
数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使います。