米国議会で共和党は、ウクライナに対する巨額の支援継続に難色を示しており、バイデン政権に大幅な歳出削減を求めています。
そのためバイデン政権は、①共和党が求めている国境対策、②超党派で支持されているイスラエル支援、①②を一つの包括的なパッケージに詰め込んで予算を組んでいます。
一つのパッケージに混ぜ込むことで、共和党議員に反対し難くさせることができるからです。
ところが運悪く、政府の当面の「つなぎ予算」は3週間後に期限切れが迫っています。
因みに、ここで言う「つなぎ予算」とは、11月17日、もしくは各分野の歳出法が制定される日までのいずれか早い方を期限として、2023会計年度の各歳出法に基づく水準での歳出を認めるものです。
なので、「つなぎ予算」のパッケージを追加でこしらえねばならない可能性があります。
もしも緊急予算案がすんなり承認されない場合、追加の「つなぎ予算」の中にイスラエル支援だけではなく、ウクライナ支援分の予算も盛り込まれるかどうかが焦点になりそうです。
このようにバイデン政権は、イスラエルとウクライナ、ふたつの巨額の軍事支援を両立できるかどうかの瀬戸際に立たされているわけです。
さて、露宇(ロシア・ウクライナ)戦争は、既に消耗戦に突入しています。
消耗戦になると、より国力(その国の生産能力)の大きいほうが断然有利になります。
昨年3月の開戦時、その差は8対1でした。
むろん、ロシアが「8」で、ウクライナが「1」です。
それが昨年の秋には、16対1に。
今年の夏には、20対1にまで拡大しています。
因みに、米国がウクライナに提供しているハイマースやジャベリンやクラスター爆弾にしても、同じくドイツが提供しているレオパルト(戦車)にしても、イギリスが提供しているチャレンジャー(戦車)やクルージングミサイルにしても、あまり戦果を上げていないようです。
主たる交戦手段は専ら榴弾砲の打ち合いで、漏れ伝わるところによれば、ウクライナの弾薬は既に底をついているらしい。
米国の支援もなかなか追いつかないという。
一日の戦死者・死傷者数についても、西側メディアの発表では、ロシアとウクライナともに1対1と報道されていますが、実際には圧倒的にウクライナ兵の戦死や死傷が多く、その差は1対7、もしくは1対10とも言われています。
このことは、マサチューセッツ州に住む米兵のリークにより明らかになっています。
人口比からみても、これだけの死傷者がでては、ウクライナに勝ち目はないでしょう。
しかも、これまで米国(西側陣営)がウクライナに支援した軍事援助・経済援助は既に1,100億ドルを超えていますが、なんとその9割近くのおカネが使途不明になって現場に届いていないらしい。
要するに、ウクライナ政府の中に、中抜きして懐に入れ込んでいる不届き者がいるということです。
ところが、その中抜きしている連中の名前をCIA(米国中央情報局)は掴んでおり、先日、ウクライナを訪問したウィリアム・バーンズCIA長官はその名簿リストをゼレンスキー大統領に叩きつけました。
なんと名簿リストのトップにはゼレンスキー大統領の名前があったことを、元CIA職員(ロシア担当)のフィル・ジラルディ氏が暴露しています。
トップである大統領自らが軍事支援金をポッポに抜いているのですから、配下の幹部連中がそれを真似して中抜きするもの宜なるかなです。
共和党がウクライナ支援の追加予算を拒むのも、そりゃぁ仕方がないことか…
こうなっては露宇戦争でウクライナが勝利することはあり得ないでしょう。
冷戦期の米国(米軍)は、ユーラシア大陸を取り囲む、ヨーロッパ、中東、東アジアの3か所うち、同時に2か所で戦争を遂行できる戦力を維持してきました。
それが、クリントン政権末期には、1か所でしか対応できないまでに戦力を減らしてしまいました。
現在では「1か所でも対応できないのでは…」とさえ言われています。
その米国はヨーロッパ(露宇戦争)で戦争をはじめ、なおかつ中東(イスラエル・ハマス戦争)でも戦争がはじまろうとしています。
これを機に、中国が台湾を侵攻したらどうなるのでしょうか。
日本政府はその対策を採っているのでしょうか。