不祥事維新が躍進する構造

不祥事維新が躍進する構造

私の好きな作家である適菜収(てきな おさむ)さんが、実に興味深いことを言っておられます。

「ジャニーズ事務所問題、統一教会問題、維新の会問題はよく似ている…」と。

適菜さんいわく「外国の報道や銃撃事件などで風穴があかない限り、ほとんどの人は目の前にある現実に対し、見て見ないふりをする。そして、騒動になった後で、そんなことは前から知っていた、とうそぶき、安全な場所からおもむろに批判を始める」と。

なるほど、いずれも世間の関心事としては同じ構造ですね。

因みに、昨日の当該ブログでも述べましたように、川崎市などはこれだけ社会問題化しているジャニーズ問題に対して、実に他人事かつ消極的な対応をしています。

ヘイトスピーチ問題については、他都市の動向云々以前に全国に先駆けて率先して条例化したくせに、抵抗できない子供に対する数え切れぬほどの性犯罪を犯した人物の名前を冠した企業、しかもそれを組織的に隠蔽してきた企業の問題については、他都市の動向をみながら対処するという。

人権都市を謳っているのであれば、例えば、2004年の性加害認定の最高裁判決以降に事実関係を少しでも知る立場にあった関係者が株の譲渡も含めて一切の経営から退き、補償が完全に行われるなどの一定の成果がみられるまでの間、それこそ全国の地方自治体に先駆けて、ジャニーズ事務所所属タレントの起用を見合わせる旨などを宣言すべきだと思うのですが、川崎市は「他都市の動向をみながら…」などとなぜか及び腰。

人権施策としての整合性が全くとれていません。

話をもどしますが、維新の不祥事が絶えないことは周知のとおりです。

にもかかわらず、組織(党)としての責任は問われず、野放し状態になっています。

例えば、前川清成という国会議員は、2021年の衆院選の公示前に投票を呼びかける文書を不特定多数の有権者に送ったとして、公職選挙法違反で(2審で)有罪判決を受けています。

ところがその後、前川氏は「私が裁判を抱えているため、すなわち前の選挙で重複立候補した奈良1区での党の選挙の準備が遅れることはあってはならないので、いったん身を引きたい」と発言しています。

要するに、議員辞職の理由は「法を犯したからではなく党の都合があるから…」と言いたいわけですが、それを党として諌めようともしない。

しかも、この男「私だけが何か特別にずるいことをしたわけではない…」と反省の微塵もない。

伏見隆という枚方市長は、投開票の約2週間後に「祝勝会」の横断幕が掲げられた集会に出席したのですが、ご承知のとおり公職選挙法は当選祝賀会の開催を禁じています。

これを吉村大阪府知事は「誤解を招くような行為はあってはならないと思うし、慎重であるべきだ」と述べていますが、どこが誤解なのでしょうか。

ふつうに「公職選挙法違反」ではないか。

大森恒太朗という奈良県の斑鳩町議会議員は、自治会の会計責任者だった際にカネの使い込みをしていたらしい。

福岡市議の堀本和歌子市議は、ライバル候補の男性市議が統一教会と関係があるかのようなビラを作ってポスティングし離党。

国会欠席騒動ですったもんだした上西氏は、病気で国会を欠席していたはずなのに居酒屋3軒をはしご酒。

立候補者の要件である居住実態がなかったために当選無効となった埼玉県議会の中村県議。

女性市議から「押し倒され性的暴行を受けた」として大阪府警に被害届が提出され、受理された大阪府議もいました。

とにもかくにも、維新の不祥事は数え挙げればキリがなく、言い訳にもならない言葉を並べ立て悪事の限りを尽くしています。

ことし6月4日、吉村大阪府知事は街頭演説で、「ま、ちょっと不祥事する人はいますけども、許してください」と発言しています。

適菜さんは言います。

維新がやってきたことは「不祥事」という言葉で収まるものではなく、少なくとも、カネを盗んだり、女性を押し倒すような人間は議員になるべきではない、と。

こんな維新ですが、なぜか党としては躍進中です。