働き方改革の目的は、労働移民の受け入れだった!?

働き方改革の目的は、労働移民の受け入れだった!?

我が国では2016年から「働き方改革」の議論がはじまったのは周知のとおりです。

改革の中身については様々な項目があったのですが、やはり何と言っても影響が大きいのは「時間外労働の上限規制の導入」です。

むろん、サービス産業や労働者の意に反した残業に対しては厳しい規制を設けるべきですが、「働き方改革」の名のもとに実際に推進された改革は全体的な残業規制でした。

不幸にも改革は断行され、いよいよ来年度(2024年度)から、トラックドライバーに時間外労働の上限(年960時間)規制が適用されます。

これにより来年以降、物流コストが着実に高騰することになります。

経済産業省の試算によれば、こうした物流コストのインフレを放置した場合、2030年時点で7.5〜10.2兆円の経済損失が見込まれています。

また、2027年には24万人のドライバー不足に陥り、2030年には物流需要の約36%が運べなくなるとの試算もあります。

すなわち、このままでは日本全国で「なかなか荷物が着かない…」という事態が常態化する可能性が大です。

これがいわゆる「物流の2024年問題」です。

恐ろしいことに、どうやら政府(岸田政権)は、このドライバー不足を外国人労働者で埋めようとしているらしい。

表向きには「労働時間を減らすことで生産性向上の投資を増やし、実質賃金を高める」と政府は言ってきたのですが、需要不足(デフレ経済)が続いている状況で、どんなに残業規制を強化したところで投資など起きるわけがない。

既に2019年度からは大企業に、2020年度からは中小企業に「年720時間」の上限規制が適用されていますが、未だに生産性向上のための投資など起きていません。

因みに、土木・建設、あるいは医療など、当初は適用除外とされていた「人手不足が深刻化していた業界」においても、来年4月から時間外労働の上限規制が適用されます。

上限規制を超過した場合には、刑事罰が科せられます。

そもそも「人手不足が深刻化していた業界」に猶予期間を設けていたのは、こうした業界に時間外労働の上限規制を適用してしまったら事業継続など不可能なことが解りきっていたからだと思いますが、状況が一変して来年から適用しても大丈夫になったわけではあるまい。

詰まるところ、時間外労働に上限キャップを嵌め、各業界において深刻な人手不足を加速させることで、「やはり外国人労働者を受け入れないとやっていけないよね…」という世論を形成しようという算段なのでしょう。

誤解を招かぬよう言っておきますが、私が外国人労働者(労働移民)の受け入れに反対するのは、人手不足を生産性向上で克服する機会を失ってしまうからです。

人手不足を投資による生産性向上で埋めると、日本国民一人当たりのGDP(所得)が必ず上昇します。

しかも飛躍的に。

繰り返しますが、政治の目的は経世済民です。

経世済民とは、国民の安全な生活を保障し、国民の所得を増やす政治のことです。

デフレ経済を放置したまま、労働移民の受け入れを拡大してしまえば、国民の所得は増えません。

しかも、移民問題の難しいところは、いったん大量に受け入れてしまうと、とりかえしがつかないことです。

時間は戻せないのですから。

デフレと移民受け入れは資本収益を稼ぐ人たちにとっては望ましいことなのでしょうが、働くことで所得を稼ぐ大多数の日本国民にとっては生地獄なのでございます。