岸田首相は本日(9月26日)の閣議で、10月中にまとめる経済対策の策定を関係閣僚に対して正式に指示するとのことです。
自民党、公明党、両政調会長に対しても、「今日の閣議で経済対策を取りまとめる指示を出す」ことを昨日の段階で伝えたという。
対策の中身については…
①物価高から国民生活を守る
②持続的賃上げ、所得向上と地方の成長
③成長力につながる国内投資促進
④人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革
⑤国土強靱(きょうじん)化など国民の安全・安心
…の5つの柱で構成するとのこと。
しかしながら、今さら何を言っているのでしょうか…
これらのことは、内閣発足当初から既に手をつけているべき政策課題ではないか!
例えば、ガソリン価格(レギュラーガソリン)が長期にわたり170円台で高止まっていますが、これだってトリガー条項を発動すれば済む話です。
トリガー条項とは、何らかの事例が発生した際、自動的に一定の措置(税率の変更や歳出の削減等)が施される法律規定のことで、具体的には、ガソリン価格に課せられているガソリン税の一部(上乗せされている暫定税率分=25.1円)を課税停止することができます。
すなわち、現在のガソリン価格から25.1円分が引かれますので、約150円/Lになります。
私も仕事で自動車(ハイブリッド車)に乗る者ですが、1リットルあたり150円程度なら経済的にもだいぶ楽になります。
本来、トリガー条項は、レギュラーガソリンの全国平均価格が「3か月連続で160円/L」を超えた場合に発動されることになっているにもかかわらず、政府はこれを凍結しています。
凍結を解除しない岸田首相の言い訳が酷い。
「トリガー条項を発動すると、発動までの間、買い控えが起こる可能性があるから…」という愚にもつかぬ言い訳です。
なぜ愚にもつかぬのかと言うと…
そんな言い訳が通用するのであれば、どうして政府は再三にわたり消費税の税率を引き上げてきたのでしょうか。
消費税の税率を引き上げると、引き上げる直前に駆け込み需要が拡大し、引き上げられると消費需要が一気に落ち込むことが解りきっています。
まさに「買い控え」です。
買い控えを理由にトリガー条項を発動しないのであれば、消費税増税も「買い控え」を理由にやめるべきではなかったのか。
それに「物価高から国民生活を守る…」と言うけれど、現在の物価高はコストプッシュ・インフレです。
コストプッシュ・インフレ対策は、政府による公共投資の拡充や民間投資の促進が必要になります。
例えば、エネルギー源の開発や食料生産、あるいは子育て支援など、目標を特定した上で投資を行う必要があるからです。
すなわち、コストプッシュ・インフレ対策には一定規模の財政支出の拡大が必要になるわけですが、PB黒字化目標を凍結も破棄もしていない現状で、これ以上の財政支出の拡大ができるのでしょうか。
防衛力強化や少子化対策でさえ、愚かなる財源論(増税による財源確保論)に陥っているのではないのですか。
むろん国土強靭化も急がれるとこですが、例によって国土強靭化税でも検討するのですか。
岸田総理、まずは財政健全化こそがコストプッシュ・インフレを悪化させるリスクそのものであることを認識し、そしてPB黒字化目標の破棄こそが、最大の経済対策であることをあなたは理解すべきです。