2025年に予定されている「大阪万博」が、実に洒落にならないほどにお粗末な状況に陥っています。
そもそも、なぜ大阪万博なのかをご存知でしょうか?
元をたどりますと、2015年に行われた「大阪都構想」の住民投票で大阪維新の会が負けたことに端を発しています。
本来であれば、大阪維新の会はそのまま凋落するところでしたが、そこで一発逆転を狙って構想されたのが「大阪万博」です。
「住民投票がダメなら、大阪万博を…」と。
当時、むりやりねじ込んだのは、橋下氏と松井氏の両名です。
その後、2016年6月16日に、万博の構想試案が大阪府から発表され、会場は夢洲に選定されました。
このとき、前回の万博開催で活躍された堺屋太一さんは、「なんで、そんな不便な夢洲なのか?」と異論を呈したと仄聞しています。
2020年11月29日付けのスポーツ報知に、大阪維新の会がどのようにして万博にこぎつけたのかを伝える記事が、次のように掲載されています。
橋下氏「松井さんが安倍さんにお酒を注ぎ倒して実現した」
橋下氏は2015年12月、松井氏、吉村氏とともに万博誘致の協力を仰ぐため、当時の安倍晋三首相(66)、菅義偉官房長官(71)と会談した席を回顧。「万博が実現したのは松井さんの政治力。安倍さんのおちょこに酒を注いで、『(万博は)必要ですよね!総理!』、安倍さんはお酒が強くないのに、安倍さんも『そうだよね!』。それまでは(世論は)シラ〜ッとしていたが、お酒を注ぎ倒して実現した」と松井氏の酒宴での腕を評価した。当時、大阪市長に就任したばかりの吉村氏も「おちょこ事件」と表現して「あの事件以来、グワーッと動いた」と驚いたという。
大阪都構想で敗北した半年後ぐらいに、大阪維新の会と官邸との間でこのようなやりとりがあったのですね。
そして2018年11月23日、フランスのパリで開かれた第164回BIE(博覧会国際事務局)総会で開催国を決める投票が行われ、大阪が勝利しました。
要するに大阪維新の会の支持率回復のために大阪万博が行われることになったわけです。
むろん、万博をやるのはいい。
しかし、なぜ夢洲なのでしょうか。
何にしても夢洲は、地の利が悪い。
地の利だけではなく、土壌も悪い。
夢洲の土壌は、地下57メートルまでN値が「5」です。
N値とは、地層の硬さの値です。
重さ63.5kgのハンマーを75cm上から落下させ、試験用サンプラーを30cm土中に打ち込むのに要する打撃回数により地層の硬さを調べます。(N値を出す方法を標準貫入試験と呼びます)
住宅や個人店舗などの一般的建造物の場合、N値は20〜30程度あれば適切だそうです。
構造ビルやマンションなどの大型建造物の場合は、N値は50以上あれば適切とのこと。
繰り返しますが、夢洲は「5」です。
どんだけ柔らかいのか。
このような土壌では、相当の杭を70メートル深くまで打ち込まなければならないらしい。
仄聞するところによると、7,000本の杭が必要になるのだとか。
1本を打ち込むのに1億円くらいの費用がかかるらしいので、それだけで7,000億円です。
しかも、見込んでいる来場者数に対してインフラが全く追いつかない。
半年間で2820万人の来場者数を見込んでいるのですが、この数はUSJの3倍です。
ということは、一日平均で約16万人。
そのうち約4割は地下鉄で来場すると想定しているので、10万人ちかくはシャトルバスで運ぶことになります。
1台あたり50人として、少なくとも2千台のシャトルバスが必要になりますが、2024年問題もあるなかで運転スタッフをどのように確保するのでしょうか。
仮に、バスと運転手を確保したとしても、夢洲にアクセスできるのは二つの橋(夢洲大橋、夢咲トンネル)しかないため、道路の大渋滞は必至です。
それに、約16万人分のトイレの問題もあります。
夢洲にはそれだけのニーズを賄うに必要な上下水インフラがない。
各種インフラを今から整備しても、2025年までには間に合わないでしょう。
ご存知でしょうか、2023年9月14日時点でパビリオン(タイプA)建設の基本計画を提出したのは、韓国、チェコ、モナコの三か国のみです。
なお、パビリオン建設の仮設建築物許可を申請した国はゼロ。
唯一、関西万博日本政府館(日本館)のみが起工式が行われました…
大阪維新のせいで日本国が恥をかかされるのは許されない。