北アフリカのモロッコで大地震がありました。
規模はマグニチュード6.8で、これまでに2,000人以上の死者が確認されています。
震源地に最も近い大都市のマラケシュ(マラケシュは松田聖子さんの唄にもなりました)などでは、多くの住民が屋外で夜を過ごされ、世界遺産に登録されている旧市街でもモスクの塔などが崩壊したようです。
地震は人命のみならず、経済や文化施設までをも破壊します。
さて、世界でも類例のない超自然災害大国である我が国におきましては、あの関東大震災の発生から100年が過ぎました。
1923(大正12)年9月1日の午後11時58分に神奈川県西部を震源とする本震が発生し、
その後も繰り返す大規模な余震により関東一帯が被災地となりました。
被害は、東京や神奈川を中心に約105,000人もの命が奪われ、住宅被害は372,000棟を超えました。
明治のご一新以降、我が国は急速に近代化を進めてきたわけですが、関東大震災発生当時は未だ、東京や神奈川の都市構造の基礎は江戸時代のままでした。
よって、道路整備や治水工事などのほか、社会事業施設や公園などの各種のインフラ整備を計画していた矢先の災害であったと思われます。
とりわけ、地震直後から発生した火災は甚大な被害をもたらし、犠牲者の9割近くは火災によるものと言われています。
東京市では15区の全てから出火、その数は134か所にも及び、消火に成功したのはそのうちの半分にも充たず、4割以上が焼失したとのことです。
一方、2011年3月に発生した東日本大震災から、既に10年以上が過ぎています。
にもかかわらず、我が国の「国土強靭化」は遅々として進んでいません。
すなわち、私たち日本国民の災害リスクは益々もって高まるばかりです。
例えば、南海トラフ巨大地震については、この40年以内に90%の確立で発生するとされています。
因みに、40年以内というのは、今日、明日にでも発生する可能性があるということです。
なお、南海トラフ巨大地震による死者数は、東日本大震災のおよそ14倍にも昇ると想定されています。
むろん、茨城県から東京、そして九州南部まで、様々な地域が大きなダメージを受けることになります。
土木学会が発表したシミュレーション結果によれば、人的被害は32万3千人、生産基盤を喪失することに伴う経済被害(GDP減少被害)は、1,410兆円とのことです。
まことに途轍もない金額が試算されています。
東日本大震災の人的被害は、行方不明の方々を含めて約22,000人、経済被害は約17兆円でしたので、南海トラフ巨大地震がいかに恐ろしい被害をもたらすのかがお解り頂けるのではないでしょうか。
さらには、南海トラフ巨大地震だけではなく、首都直下型地震が連動する可能性もあります。
実際、宝永大地震の際にも、安政大地震の際にも、連動しています。
もしそうなれば、我が国のGDPは、なんと200兆円を切ってしまうという最悪な事態に及んでしまいます
だからこそ、急いで国土強靭化を進めなければならないわけです。
それを阻んでいるのは、言うまでもなく「財源問題」です。
為政者たちが正しい貨幣観をもたぬがゆえに、稚拙な財源論に終始するばかりで遅々として国土強靭化が進まないのでございます。
なんどでも言おう。
財源は公債(建設国債)でいい。