きのう自民党では、財務金融部会が開かれました。
議題は、来年度(2024年度)の財務金融部会関係予算の概算要求についてでした。
そこで財務省は、来年度予算の概算要求を示したようです。
内容をみますと、国債の元利払いにあてる「国債費」を28兆1424億円と計上しています。
利払い費を計算するための想定金利は1.5%としたようで、これにより来年度予算の国債費は過去最大となった2023年度当初予算から11.5%(金額にすると2兆8921億円)の増となる見込みです。
ちなみに、財務省全体の概算要求額は2023年度当初予算比で10.7%増の29兆9971億円です。
IBRD(世銀グループの国際復興開発銀行)などを通じたウクライナ支援については、金額を示さない「事項要求」とされました。
さて、財務省の言う「国債費」とは、①債務償還費(元金償還費)、②利子及割引料(主に利払費)、③国債事務取扱費の合計のことです。
しかしながら、家計簿脳に毒されている諸氏にとっては誠に信じ難い事実かもしれませんが、国家予算(一般会計予算)に、①の債務償還費(元金償還費)を計上している国は、我が日本国だけです。
我が国だけが、実に特殊な債務管理政策を採っていることを知ってほしい。
例えば我が国には、他国には存在しない「国債の60年償還ルール」なる不思議なルールがあります。
60年償還ルールとは、一般会計からの繰入により60年かけて公債(建設、特例)を償還するというものです。
こんなルールを設けて、わざわざ自国の財政政策に足かせをはめているのは日本だけ。
それに、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどの主要国は「財政黒字になれば償還する」としていますが、「財政赤字でも償還する」としているのは日本だけです。
要するに、日本以外の主要国には国債償還ルールなど無く、事実上、公債の返済などしていないのです。
なぜかと言うと、政府というものは基本的に財政赤字であるのが通常な状態であり、しかも「国債発行残高」は「通貨発行残高」に過ぎないので、国債償還(貨幣消滅)などしてしまうと(財政黒字の場合を除いて)国民が貧困化してしまうからです。
ちなみに、景気がバブル化して民間債務が膨らみ(政府財政が黒字化し)過ぎたときのみ、政府としてやるべきことは「国債償還」や「増税」などの貨幣消滅政策です。
アメリカでも、クリントン政権時代に財政黒字となり国債を償還したことがあります。
多くの政治家、役人、メディア、学者、国民が「国の借金は税金で返さなければならない…」と思い込んでおりますが、日本以外の主要国はどこもそんなことをやっていないのです。
それが真実です。
それでは、なぜ日本だけが、債務償還費(元金償還費)を予算(歳出予算)に計上するのでしょうか。
一つは、少しでも歳出額を大きく見せるため。
もう一つは、国民に対して「借金返済の必要性」を強調するためかと思われます。
むろん、債務償還費が計上されている分、その分は我が国の政府支出(≒国民への支出≒需要)が減ることになります。
なお、借換財源についても触れておきますが、日本以外の主要国では借換財源は国債発行により調達されています。
つまり日本以外の国は、当たり前の話として国債(借換債)を発行し、永遠に借り換え続けているのです。
日本も借換債を発行しているのですが、なぜか一般会計からの繰り入れでも調達しています。
一般会計から「償還費」が繰り入れられてしまうと、当然のことながらその分、国民への支出(≒需要)が減ることになります。
日本が長期にわたりデフレから脱却できない理由がよく解ります。