インドで導入された日本の新幹線が、ことのほか高い評価を受けているらしい。
「中国製を採用しなくてよかった…」と。
言うまでもなく、日本の新幹線テクノロジーは一夜にしてできたものではありません。
長い歴史のなかで蓄積され、磨き上げられたものです。
ご承知のとおり、我が国初の鉄道(新橋〜横浜)が開業したのは、1872年のことです。
ここから日本の鉄道の歴史がスタートしたわけですが、新幹線の構想自体は戦前から「弾丸列車計画」として構想されていました。
ところが戦争に負けたことから、GHQの占領政策により、我が国では自転車以上の機械を製造することができなくなりました。
その後、朝鮮戦争が勃発したことで、50〜100年スパンで日本を占領統治するというGHQの占領方針に変更がなされ、運良く我が国は1952年に独立(主権)を回復します。
そして新幹線計画が再び浮上し具体化しはじめたのは、東海道本線の輸送力が逼迫してからのことです。
結果、1957年に「東海道新幹線構想」が立案され、東京オリンピック開催の1964年に合わせ東海道新幹線が開業しました。
主権を回復した後に、これだけの猛スピートで新幹線を開業できたのは、むろん戦前・戦中の蓄積した軍事技術があったからです。
その恩恵を享受して、日本初の新幹線は移動手段としての地位を確立し、全国の新幹線ネットワークを築いていったのですが、こうした地位を占めるに至ったのは、ひとえに新幹線テクノロジーの高さにあったことは言うまでもありません。
まず、時速200キロメートルを超える高速を実現するためには、空気の抵抗をできるだけ抑えなければならない。
新幹線の先頭車両が、飛行機の形状を取り入れた流線型のボディをしているのはそのためです。
また、速度が速まることで車体の振動も大きくなってしまうところですが、それを抑えるため、本体を乗せる台車に空気を圧縮して入れた空気バネを使って揺れを吸収し、本体に伝わらない仕組みになっています。
なにより、安全性という面ではピカイチです。
我が国の新幹線は開業以来、死傷者を多数出すような事故もなく、安全運行は世界でトップクラスです。
脱線した新幹線をそのまま地中に埋め、何事もなかったかのようにするような国とは異なります。
新幹線は安全運転を維持するため、ATC(自動列車制御装置)によって速度が制御されています。
地震対応という部分でも優秀で、地震計が地震を感知すると自動的に列車を止める仕組みが導入されています。
このような素晴らしい新幹線を作ることができるのに、国内需要に乏しく海外に輸出しなければビジネスとして成立しないのは誠に残念です。
大災害への備えとしても、東京圏や太平洋ベルト地帯への人口と生産能力の集中を一刻も早く解消しなければなりません。
そのためにも、全国に新幹線網を張り巡らせることが急務です。
しかしながら例によって、政府の緊縮財政がそれを阻んでいます。