家族の介護や看護のために仕事を続けることができず、余儀なく退職される方々が増えています。
いわゆる介護離職問題です。
先月、国が公表した調査結果によりますと、介護離職者数は10万6千人を超え、2017年までは減少していたのですが再び増加に転じています。
年代別では、40代、50代が多く、次いで60代の離職も目立っています。
日本国内には、家族を介護しながら働く人が365万人おられ、この10年間で70万人も増えています。
因みに、365万人というと、働く人全体の約5%となります。
言うまでもなく、人口が減少する日本においては、介護離職は貴重な労働力を失う大きな損失となります。
仕事と介護の両立が困難になった人たちの離職が増えているなか、国は2025年に『介護離職ゼロ』の目標を掲げ、対策の強化を図ってきましたが、まったく実効性は上がっていません。
国は、介護のための休業制度(介護休業)を充実させることに重点をおいているようですが、政策の方向性が間違っているように思います。
介護休業のための支援制度を充実させるより、仕事を休むことなく安心して家族を預けることのできる「介護サービス」を整備することのほうが先決ではないでしょうか。
そもそも介護のために仕事を休まなければならないのは、安心して任せられる「介護サービス」が不足しているからです。
即ち、介護従事者の不足が、介護離職の増大を招いているわけです。
では、どうして介護従事者が不足しているのか。
それには様々な要因がありますが、むろん最大の要因は介護従事者の給料水準が低いことです。
上の表のとおり、介護従事者の給与水準は産業平均を大きく下回っています。
私はこの表を何度も更新していますが、長い間この差は縮まっていません。
このように言うと「介護従事者の給料を上げるには、施設利用料を引き上げなければならないではないか…」というご意見を頂くことがありますが、利用料を上げずとも、ふつうに政府が自治体を通じて補助すればいいだけの話です。
財源は、むろん国債発行(貨幣発行)です。
場合によっては、すべての介護従事者をいったん公務員にしたらいい。
そして民間の給与水準が公務員の給与水準を上回ったら、公務員待遇を解除する。
これが、いわゆるMMT(現代貨幣理論)が提唱するJGP(ジョブ・ギャランティ・プログラム)です。
断っておきますが、日本の公務員数は自治体職員や天下り(再就職)を含めて国際的にも極めて少ない水準です。
よって、「これ以上、公務員を増やすのか…」というご批判は当たらない。
なお、「これ以上、借金を増やすのか…」というご批判もまた当たらないことは、当該ブログにおいて繰り返し述べてきたとおりです。