竹中先生に学ぶ日本維新の会

竹中先生に学ぶ日本維新の会

本日、午前9時30分から、『日本維新の会』が当所属の国会議員、首長、地方議員のほか、特別党員むけに勉強会を行うらしい。

オンライン併用で行われるこの勉強会の議題は「日本大改革プランver2.0について」で、その講師はなんと竹中平蔵先生です。

竹中先生といえば、日本を代表するネオリベラリスト(新自由主義者)であり、さすが過激ネオリベ政党『日本維新の会』らしい人選です。

日本がデフレ経済から一向に抜け出すことができず、この20年の間、ひたすら格差は拡大し続け、日に日に発展途上国化しているのも、ネオリベの権化である竹中先生がわが日本国に仕掛けた3つの毒針の賜物です。

この3つの毒針こそが、国民経済の破壊と衰退を目論む竹中大改革プランの肝なのでございます。

この毒針とは何か?

まず一つ目の毒針は、「プライマリー・バランス(以下、PB)黒字化目標」です。

PBとは、国債関連費用を除いた政府の財政収支のことで、政府は国債発行以外の歳入(税収、税外収入)の範囲でしか、歳出をしてはならないという考え方です。

日本の緊縮財政が継続し、消費税が繰り返し増税され、地方交付税交付金をはじめ、公共事業、防衛費、医療費、介護費、科学技術予算、教育費といった政府支出が抑制されてきたのは、全てこのPB黒字化目標が原因です。

経済成長とは、GDP(国内の所得の合計)が拡大することです。

残念ながら日本は1997年以降にデフレに突入し、GDPが全く成長しない国になってしまいました。

それでは、なぜ日本はデフレに突入したのでしょうか?

その理由は簡単で、バブル経済が崩壊したのち、政府(橋本内閣)が消費税増税、公共投資削減といった緊縮財政を強行したためです。

なお、デフレ経済の何が問題なのかと言うと、物価の下落以上に賃金が低下してゆくことと、総需要の不足から国内の供給能力(国力の源泉)を毀損してゆくことです。

ならば、どうすればよかったのか。

デフレ経済とは、それ即ち総需要の不足経済なのですから、不足する需要を埋めればいい。

とはいえ、デフレ経済下においては、民間(企業・家計)部門にとっては「おカネを使わない」ことが合理的になります。

総需要不足によりおカネの価値が高まっていくわけですから、企業や家計にとって、おカネを借りたり使ったりするのは「損すること」になります。

しかも需要が拡大しない状況下で、おカネを借りて設備投資に乗り出す経営者などいるはずもない。

というわけで、総需要の不足(デフレギャップ)を埋めることができる、即ち支出を拡大できる国内の経済主体は、唯「政府」しかないのです。

即ち、積極財政です。

歴史的にも、積極財政こそが効果が確認された、たった一つのデフレ対策なのでございます。

ところが、この唯一のデフレ対策が、政府の「PB黒字化目標」という毒針によって封印されてしまったのです。

2001年に成立した第一次小泉内閣において、竹中先生は民間人として「経済財政政策担当大臣」に就任しました。

大臣就任後の竹中先生は、政府の財政健全化目標としてPB黒字化を推進し、2002年に小泉内閣が閣議決定した「骨太の方針2002」に2010年度までのPB黒字化目標が盛り込まれてしまったわけです。

その後、なぜか歴代内閣は安倍内閣も含め、このPB黒字化目標を踏襲して現在に至り、今なおわが国経済はデフレ経済の中にいます。

昨今、一部物価にコストプッシュ・インフレが見られますが、物価上昇分が国民の所得増加に結びつかないので、コストプッシュ・インフレもまた社会的作用としてはデフレ経済と同じです。

竹中先生が日本に仕込んだ二つ目の毒針は、内閣府による潜在GDPの算定方法を「最大概念」から「平均概念」に変更したことです。

最大概念の潜在GDPが「国内の供給能力が最大限に発揮されたGDP」であるのに対し、平均概念の潜在GDPは要するに「過去平均のGDP」です。

デフレ経済が続く中で過去平均を前提にしてしまえば、年々わが国の潜在GDPは実態とかけ離れて小さくなってしまいます。

つまり、竹中先生はデフレギャップ(潜在GDPー実需)をできるだけ小さく見せたいがために「平均概念」を採用したのです。

「デフレギャップはそんなに大きくないのだから、政府の財政出動は必要ないでしょ…」と。

三つ目の毒針は、わが国のマクロ経済モデルを「発展途上国型モデル」に変更したことです。

発展途上国が財政危機に陥り、IMF(国際通貨基金)の管理下におかれますと、増税と政府支出削減を中心とした「緊縮財政」を強要されるのは周知のとおりです。

ご承知のとおり、発展途上国は供給能力が低いので、財政支出を拡大すると直ぐにインフレ率が上昇してしまうのです。

だからIMFは「増税と政府支出削減によりインフレ率を抑制しなさい…」と指導するわけですね。

それを日本に当て嵌めて、緊縮財政を正当化させたのが竹中先生です。

その意味では、日本はIMFの管理下にはありませんが、未だ竹中先生の管理下にあると言っていい。

このように竹中先生が仕込んだ3つの毒針は未だに作用しており、日本をデフレから脱却させないようにしています。

なぜ、そのようにしたいのか解りますか?

デフレ経済は圧倒的大多数の国民を貧困化し、まちがいなく国家を発展途上国化させますが、ごく一部の人たちにとっては実に都合のいい経済状態だからです。

そんな竹中先生を招き、愚かなる改革プランの「ver2.0」を拝聴し、実践しようとしているのが日本維新の会なのでございます。