2020年の春、新型コロナの感染拡大で人々の活動が抑制され、経済活動が停滞しました。
結果、飲食店や宿泊業などのサービス業を中心に、中小零細企業は深刻なダメージを受けました。
売り上げの大幅な減少が続いただけでなく、店舗の家賃などの固定費がかかり続けるため、多くの事業者が赤字に陥り「このままでは存続が危ぶまれる…」という事態に直面しました。
そこで政府が用意したのが、中小企業を対象とした実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」です。
2020年3月から政府系金融機関が取り扱いをはじめたところ、申し込みが殺到し、5月からは民間の金融機関も受け付けを開始しました。
一定の条件(コロナ以前より売上が15%減ったなど)を満たせば、担保がなくても資金を借りることができるという制度でした。
利子の分についても、3年間は都道府県などが穴埋めするために負担しなくて済みました。
融資額は、政府系がおよそ20兆円(112万件)、民間がおよそ23兆円(137万件)に上りましたので、いかに多くの中小企業がこの融資に頼ってきたのかがわかります。
ところが、融資開始から3年が過ぎた今年2月から「ゼロゼロ融資」の返済がはじまっており、案の定、倒産が増えはじめています。
「東京商工リサーチ」によりますと、今年1月から6月までの半年間、ゼロゼロ融資利用企業の倒産件数は322件あったという。
322件は、前年の1.8倍に当たります。
なお、民間のゼロゼロ融資は、今月(7月)から返済開始のピークを迎えているようです。
3年間の無利子の期間が終わる時期だからですね。
今後、さらに倒産が急増するのではないかという懸念が高まっています。
さて、そうした危機に陥っている企業を救う一つの手段として「信用保証協会」があります。
信用保証協会は全国47都道府県、プラス4つの市、合わせて51あるのですが、都道府県、市町村、地域の金融機関などが資金を出しあって運営されている公的な機関です。
例えば、もしも企業が借金を返せなくなった場合、信用保証協会が肩代わりして金融機関に返済してくれます。
因みに、肩代わりした分は実質的に税金で穴埋めされます。
このように言うと、どこぞやの狂信的ネオリベ改革政党が「税金がゾンビ企業の延命に使われるのはけしからん…」などと言い出しそうですが…、それの何が悪い。
ゼロゼロ融資の返済に困る企業にとって、信用保証協会が果たせる役割は大きい。
本来は金融機関みずからが「企業の返済できる能力」を見極めて融資するわけですが、ご承知のとおり新型コロナ禍の中にあっては先がまったく見通せなくなりました。
こうした状況下では、どうしても金融機関の多くが貸し出しを躊躇うために資金の流れが悪化し、倒産が続出することになります。
そこで、信用保証協会が肩代わりを約束することで、金融機関は安心して企業に融資できるようになり、倒産が大幅に抑えられる効果を発揮したわけです。
しかも、今日の信用保証協会は、ただ「肩代わり」をするだけではありません。
ゼロゼロ融資を受けた膨大な中小企業の中から「経営悪化」という病気にかかっているところを早期に発見し、様々な経営支援を行うことで収益を改善させる努力をしています。
例えば、栃木県信用保証協会などは、一昨年から「経営アシスト室」という専門の部署を設け、支援する企業を洗い出す工夫をしています。
なんと、ゼロゼロ融資を受けた約13,000社の経営状況を分析し、売り上げがコロナ前よりも減ったままになっているうえに、借り入れの半分以上が保証の対象になっているなどの条件に当てはまる企業(約1,200社)について重点的に支援しているらしい。
主権通貨国である我が国においては、インフレ率(供給能力)が許す限りにおいて通貨発行量に上限はありません。
ならば、国内の供給能力を維持増強させることになる信用保証協会の役割は極めて重要です。
私は断言します。
狂信的ネオリベ改革政党では、経世済民を追求することは絶対に不可能です。