きのう財務省は、2022年度の一般会計の決算概要を発表しました。
決算剰余金(予算措置したものの使われず余っているおカネ)は2兆6294億円とのことです。
内訳をみますと、まず歳入面では、国に入る税収の上振れ分で2兆167億円、税外収入の上振れ分で1兆3042億円、国債発行の取りやめ分で12兆円、一方の歳出面では、執行する必要がなくなった予算が11兆3084億円ですので、差し引きして2兆6294億円となります。
このうち、約半分の1兆3000億円程度を防衛財源に回すとしており、これをもって「2024年以降としていた増税時期を先送りする原資になり得る…」との認識を示しました。
まったく、救いがたい…
これで「ああ、増税が延期されそうでよかった…」と思っている国民がいるのだとしたら、いいかげんに目を覚ましてほしい。
まず、税収であれ、税外収入であれ、増収分すべてが貨幣回収(貨幣消滅)であり、デフレ圧力です。
むろん、国債発行12兆円の取りやめもそうです。
新たに供給されるべき貨幣が供給されなかったわけですから。
当然これらは、必要なくなった予算11兆3084億円をも含めて、全て今年度の補正予算にまわして支出されるべきです。
しかも財務省は、決算剰余金(2兆6294億円)のうち、約半分を防衛財源の原資に成り得るとしつつ、もう半分の1兆3000億円を国債の償還(貨幣消滅)に充てるという。
これでは、デフレなんて脱却できるはずがない。
近年、財務省は、予算化しても使わないという手法により国民を欺いて緊縮財政路線を強化しています。
とはいえ、予算化しても使い切れないのは、我が国の国内供給能力が低下していることを物語ってもいます。
例えば公共事業で言えば、工事を発注しようとしても、受注してくれる建設会社が少ないとか。
むろん、建設業に従事する人が減ったのも、長きにわたるデフレ経済が主因ですけど。
要するに…
緊縮財政 → デフレ → 供給能力の毀損 → 予算消化困難
…という状況に陥っています。
毀損された供給能力を回復させるためにも、政府が財政支出を拡大することで、即ち新たな貨幣を発行することで、大規模で長期で計画的な需要(名目GDP)を創出してほしい。
むろん、あらゆる分野において、です。
そうすることで、デフレとコストプッシュ・インフレを同時に解決することも可能です。
どうか国民よ、目を覚ましてほしい。
ぜひとも、次の5つの真実を知ってほしい。
- 政府の赤字は国民の黒字、政府の黒字は国民の赤字
- 政府支出を減らしているからGDPが伸びず、デフレを脱却できない
- 税金は財源ではない
- 国債償還ルールは世界中で日本だけ
- 円建てで国債を発行している日本政府にデフォルトなどあり得ない