昨年11月から12月にかけて、東京財団政策研究所が国内の経済学者や一般国民を対象に「財政問題」について意識調査を行いました。
経済学者は727人を対象に282人の回答を得て、一般国民はネット調査で1千人の回答を得たという。
その結果が朝日新聞に掲載されていました。
一般国民の4割、そして経済学者の4割以上が「大変な問題」と認識しているという調査結果でした。
加えて「ある程度問題」としている一般国民は約25%、経済学者は約42%です。
そして、「まったく問題でない」と回答した経済学者や一般国民は共に数%に過ぎませんでした。
とりわけ「財政赤字が問題だ…」と答えた学者は87%、一般国民でも66%もいたというから事態の深刻さがわかります。
ちなみに、「あまり問題ではない」という回答は学者よりも一般国民のほうが多かったところが特に面白い。
一般国民よりも、どちらかというと学者さんのほうが確信をもって「問題だ!」と思い込んでいるようです。
思い込み…
そうです、思い込みです。
なぜなら、国家(日本政府)は、国債発行という負債増(借金ではない)について返済する義務を負っていません。
というよりも、そもそも返済していません。
国債とは、原則「借り換え」です。
しかも自国通貨建て(日本の場合は日本円建て)の国債など、中央銀行が買い取ってしまえば返済や利払いの必要は消滅します。
中央銀行は政府の一部であり、日本の場合、日本銀行の株式(厳密には出資証券)の55%を日本政府が保有しています。
つまり、日本銀行は日本政府の子会社なのでございます。
親会社と子会社のおカネの貸し借りや利払いは、連結決算で相殺されます。
このように言うと「そんなうまい話があるのか…」と思われる方々も多いかもしれませんが、通貨発行権をもつ政府財政とそれを有しない家計簿とでは全く役割と性質が異なるのでございます。
ご承知のとおり、我が国では政府が発行した国債の半分を既に日本銀行が保有しています。
日本銀行が購入し保有している国債はどうなるのか?
日本国消滅の日まで延々と借り換えされていくだけです。
因みに民間銀行が保有している国債についても基本的には借り換えされます。
だからこそ日本以外の諸外国では、国債の償還ルールなど定めていませんし、国債償還費を予算に計上していません。
なぜか我が国だけが「60年償還ルール」を定めて償還費用を予算に計上し、「ほら、こんなに借金返済で大変なんだぞ…」とメディアに報道させるわけです。
そうした財務省発のエセ情報をメディアが報道し、それを信じ込んだ国民の多くが「日本の財政問題は大変だぁ」と不安に陥るわけです。
一般国民は仕方ないにしても、せめて知的分野でご活躍されている学者先生たちには少なくとも真実を知ってもらいたい。
そういえば、本日6月27日は『メディア・リテラシーの日』だそうです。
長野県長野市に本社を置くテレビ信州が制定したらしいのですが、メディア・リテラシーとは「メディアを主体的に読み解く能力」「メディアにアクセスし、活用する能力」「メディアを通じコミュニケーションする能力」「メディアを使いこなす能力」を意味するとのことです。
なかなか獲得することが難しい能力です。