上昇し続ける輸入小麦の政府売渡価格

上昇し続ける輸入小麦の政府売渡価格

6月1日から業務用小麦粉が値上げされます。

日清製粉は6月20日納入分から、強力系(パンなどに使われる小麦)が25キログラムあたり235円、中力系・薄力系(うどんや菓子などに使われる小麦)が同135円、国内産小麦100%は同30円値上げするとのこと。

ニップンもまた強力系が同235円、中力系・薄力系が同140円、国内産小麦100%が同30円の値上げ。

山崎パンも7月1日出荷分から食パンと菓子パンを平均7%値上げします。

これらは、4月に輸入小麦の政府売り渡し価格が値上げされたことに伴う原材料高が価格に反映したものです。

さて、ご承知のとおり我が国は、小麦の8割以上を米国・カナダ、オーストラリアなどアングロサクソン国家からの輸入に依存しています。

くどいようですが戦後の我が国は、米国の余剰農産物の最終処分場と化してきたと言っていい。

日本政府は小麦の安定供給を図るため、商社などを通じてそれらの国々から小麦を買い付け、一定金額で製粉会社などに売り渡しています。

価格は国際相場や海上運賃などを加味し、毎年4月と10月に政府が見直していますが、先月の見直しでは、3月第1週までの直近6カ月の買い付け価格の平均から算定した結果、前期比5.8%の引き上げとなり、1トンあたり7万6750円となりました。

輸入小麦の売り渡し価格の上昇は、当然のことながら食品メーカーの値上げに直結します。

こうしたなか、セブンイレブンは、うどんや中華麺などの麺類弁当の原料を国産小麦に切り替えることを表明しています。

2024年には、ほぼ全品を国産にするらしい。

コンビニ大手では初めての取り組みとなりますが、ウクライナ紛争以降の輸入小麦供給の不安定化を、ことのほか憂慮してのことでしょう。

セブン−イレブン・ジャパンによれば、国産小麦の価格は輸入品よりも数%高いものの調理法や物流などを工夫することにより上昇分のコストを最大限に抑制し、価格はそのまま維持するとしています。

輸入小麦の3割は、もっか戦争中のロシア産とウクライナ産が占めているわけですが、国際的な指標となる米シカゴ市場の小麦相場は、戦争勃発以降、一時1ブッシェル14ドル近辺となり史上最高値をつけています。

未だ、ウクライナ紛争の出口は見えておらず、小麦供給への先行きの警戒感が強まるばかりです。

国産小麦と輸入小麦との価格差が縮小していることから、国内業者におかれてはこの際ぜひとも国産小麦に切り替えてほしいものですが、残念ながら現在の我が国には国内需要を賄えるほどの供給能力がない。

むろん戦後、米国の対日政策がそのようにさせたわけですが…

経済力とは、金融資産の量ではなく、モノやサービスを生産する「力」であることを改めて痛感します。