日本の公務員は多いのか少ないのか?
国際的に比較すれば、わが国の公務員数は圧倒的に少ない。
むろん中央政府、地方政府ともにです。
上のグラフのとおり、日本は国際的平均値よりも少ないうえに、あのサッチャー改革によって削りに削った英国よりも断然に少ないのでございます。
にもかかわらず、あたかも日本の公務員数が多いかのように喧伝するのはいかがなものか。
公務員を叩けば正義…みたいな風潮が世に跋扈しているのは極めて問題です。
川崎市などはこの20年間で3000人もの職員を削減した結果、明らかなマンパワー不足から行政サービスに支障をきたしています。
近年、人的な事務ミスが多発しているのもその一つかと思われます。
因みに、日本の公務員による贈収賄の数は、OECD諸国の中でも下から数えたほうが早いほど少ない。
仮に法を犯した職員がいたとして、法治主義に則って処罰すればいいだけの話です。
たしかに、法を犯すことなく巧妙に制度の隙をついて怠けている不届きな職員がいないこともないのですが、そのような職員は極わずかで圧倒的大多数の職員は真っ当に勤務されています。
川崎市の悪いところは、例えばコロナ休暇を不正取得した職員がいるにもかかわらず、言い訳にもならぬ言い訳を認めて規則通りに処罰しないところです。
罰が平等でない組織は腐敗します。
しかしながら、こうした問題と、日本の公務員数の適正水準とは、全く別の問題です。
とりわけ、わが国に蔓延している「公務員は多すぎる…」論には、数値的根拠がまったくないのです。
デフレギャップが埋まらないわが国の国民経済にとっては公務員はむしろ少なすぎると言っていい。
公務員への給与もGDPのうちです。
因みに、日本は公務員数のみならず、公務員給与の対GDP比率も国際的に低水準です。
デフレにより分母となるGDPがほとんど拡大していないにもかかわらずです。
それにつけても不思議なのは、「日本の公務員は多すぎるぅ〜」と主張する人たちの多くが同時に「日本の官は強すぎる…」と言い、「だからこそ公務員の数を減らして官の力を弱め、民間主導の政治経済を実現するのだ…」という論法を展開します。
公務員数を減らせば減らすほど、公務員ひとりあたりの権限は大きくなります。
ということは、彼ら彼女らは「日本を世界で最も公務員ひとりあたりの権限の強い国」にしたいのでしょうか。
数値データに基づかない、即ち事実に基づかない政策論が世の中を良くすることなど絶対にあり得ない。