日本の農産物平均関税率

日本の農産物平均関税率

本日、G7広島サミットが開幕します。

今回のサミットでは、経済分野の焦点の一つとして食料安全保障が挙げられています。

議長国として、一連の会合の成果を首脳宣言や成果文書としてどれだけ濃い内容でまとめることができるでしょうか。

コロナ禍、中国の爆買い、異常気象の影響に加えウクライナ危機の長期化により、世界は食料争奪戦の様相を呈し、我が国においてもいよいよ輸入途絶が現実味を帯びてきています。

とりわけ、2021年秋から中国の食料輸入の激増による食料価格の高騰と日本の「買い負け」懸念が高まっていた矢先にウクライナ紛争が勃発し、小麦をはじめとする穀物価格、原油価格、化学肥料の原料価格などの高騰が増幅され、食料やその生産資産の調達への不安は益々もって深刻化しています。

ご承知のとおりわが国では、化学肥料原料であるリン、カリウムは100%、尿素が96%という輸入依存にありますが、中国の輸出抑制により調達が困難になりつつあった矢先に、中国と並んで大生産国のロシアやベラルーシが輸出してくれなくなったわけです。

今や、高くて買えないどころか、すでに製造中止の配合飼料も出てきていますので、今後の国内農家への肥料供給の見通しが立たなくなっています。

むろん、ロシアやベラルーシは食料や資材を戦略的に輸出しないことを外交的武器として活用しています。

一方、戦場となっているウクライナでは耕地破壊が進み播種も充分にできず、ロシアによる海上封鎖もあって輸出したくともできない。

こうしたなかインドなどは、自国民の食料確保のために防衛的な輸出規制に踏み切っています。

こうした輸出規制に動いている国々は30ヶ国に及んでいます。

例えば小麦については、日本は敗戦以来、米国、カナダ、オーストラリアに大きく依存していますが、代替国に需要が集中していることもあって世界的な食料争奪戦が激化しつつあります。

ところが、世界的な食料争奪戦が激化しつつあるなか、なんとわが国では、卵や牛乳の価格を安定させるために、乳牛を殺し牛乳を捨てる生産者に対し助成金を出すなどして生産調整をしています。

国力とは供給能力であることを、どうして理解できないのか!

また、日本のメディアは「日本の農産物の関税は高い…」「日本の農家は保護され過ぎている…」と報じることがしばしばですが、これは明らかなフェイクニュースです。

冒頭のグラフをご覧のとおり、わが国の農産物の関税率は、11.7%と極めて低い。

米国よりは高いのは事実ですが、EUの約半分の水準です。

農産物輸出大国であるタイやブラジルなどは35%から40%の関税率を設定していますが、そうした農産物輸出国と比べると、日本の関税は4分の1という極めて低い水準なのでございます。

苦境に追い込まれているわが国のコメ農家や酪農家を、財政支出の拡大によって保護することが必要です。

何としてでも、食料を国内生産する能力を維持強化しなければなりません。

コオロギや芋で食料危機を凌ごうとする国など、主権国家とは言えない。