高度経済成長期の日本に学べ!

高度経済成長期の日本に学べ!

少子高齢化に伴う我が国の人口減少が本格的に問題視されはじめたのは、確か1990年代だったと記憶しています。

問題視されつつ、この30年間、結局は何の改善も為されませんでした。

国立社会保障・人口問題研究所が2018年に発表した「地域別将来推計人口」によれば、全国1,682自治体のうち、2045年時点で2015年比で人口が増える市区町村はわずか94自治体(全体の5.6%)で、かろうじて増えるのは首都圏など都市部やその近郊のベッドタウンに位置する自治体だけです。

全国の9割超の自治体で人口が減少することになりますが、最も人口減少率の大きい自治体は奈良県川上村です。

2045年までに2015年比で8割ほど減って、なんと270人になってしまうというから凄まじい。

むろん、そうなる前に近隣の自治体と合併されてしまうでしょうけど。

さて、人口減少を理由に「日本は人口が減るんだから、もっと外国人を受け入れて労働力を補っていくしかない…」という意見があります。

しかしながら、この種の意見を主張される人たちの多くが「経済成長は人口規模で決まる…」と誤解しています。

もしも人口規模で経済成長が決まるのであれば、アフリカ諸国の多くは既に先進国になっているはずであり、インドや中国などはとっくに覇権国になっていなければおかしい。

例えば、大いに経済が成長したルネッサンス期のイタリアは人口減少社会でしたし、高度経済成長期の日本の人口増加率は年間1.1%程度です。

どちらかというと人口規模は経済の結果であって決して要因ではないのでございます。

戦後、日本経済は常に労働力不足でした。

これを外国人労働者で埋めることなく、生産性の向上により克服したがために日本は高度経済成長を成し遂げることができたのです。

生産性を向上させたことで、日本国民ひとりあたりの所得が着実に増えていったのです。

もしもあのときに外国人労働者の受け入れによって労働力不足を解消していたなら、その後、日本がG7に加えられることも無かったでしょう。

因みに、労働力が貴重であったからこそ、終身雇用が確立されていったのです。

現在はどうか。

生産性向上のための投資を怠り、外国人労働者を受け入れて賃金を抑制。

さらには雇用規制を緩和し「非正規社員」を増やし、経営状況が悪化すれば平然とクビにする。

おかげで30年近く実質賃金は下がり続け、格差が拡大し高度成長期につくりあげた「分厚い中間層」は破壊されたのでございます。

これが、1990年代から行われた「構造改革」の結果です。

平成はまさに構造改革の時代でしたが、令和となった今もなお、それを叫ぶものが後を絶たない。