高齢化スピード 1.71

高齢化スピード 1.71

きのう(4月26日)、国立社会保障・人口問題研究所が最新の「将来推計人口」を公表しました。

「将来推計人口」とは、文字どおりわが国の長期的な人口を予測したものです。

推計によれば、日本の人口は2056年には1億人を下回り、2059年には出生数が50万人を割り込むという。

人口増減よりも私が重視しているのは、高齢化スピードです。

全国的にみますと、川崎市のような都市部は地方に比べて高齢化比率(65歳以上人口が占める割合)は低いのですが、高齢化スピードが早い。

とりわけ、私の住む川崎市北部は、全国でも最も高齢化スピードの早い地域です。

川崎市全体では、2020年の75歳以上の人口比率は10.8%ですが、これが2045年になると16.7%となります。

よって、高齢化スピードは、1.54です。

(16.7% ÷ 10.8% = 1.54)

高齢化スピードの早い、遅いの分岐点は「1.5」と言われています。

私の住む多摩区の高齢化スピードは1.71ですので、川崎市のなかでも特に早い地域であることがわかります。

ところが、このように高齢化スピードが早い地域であるにも関わらず、多摩区を含む川崎北部医療圏は高齢者向けの医療インフラが極めて脆弱です。

療養病床の稼働率は今でも95%を超え(常にフル稼働)で、むろん在宅の医療・介護も十分とは言い難い。

因みに川崎市内には、高度救命救急がない。

以前、私が市議会で指摘したように、療養病床の不足は間接的に救急医療にも大きな弊害をもたらします。

ゆえに、当該地域においては救急医療体制の強化、療養病床の増設、在宅医療・在宅介護の充実が喫緊の課題です。

こうした医療リソースの不足は、いわゆる「行き場のない患者」を量産してしまうことになりますので。

このたびの選挙戦でも強く訴え続けたことですが、まずは聖マリアンナ医科大学病院を三次救急から高度救命救急へ、そして新百合ヶ丘総合病院を二次救急から三次救急へと同時承認すべきです。

その上で、療養病床の増設、在宅医療介護の充実、感染症の受け入れ病床の拡充強化をはかるなど、医療インフラを整備していかねばなりません。

さて、今回の「将来推計人口」では、2070年の日本の総人口が、現在のおよそ1億2600万人から3割減の8700万人に減るとされています。

これをもって「人口が減少するのだから、医療だろうが何だろうが、もうインフラは要らない…」と主張する者がいます。

こういうのを「お〇〇さん」と言います。

人口減社会でも着実に経済成長することは可能です。

一人あたりの生産性を高めればいいだけの話ですから。

一人あたりの生産性を高めるために必要なリソースの一つが「インフラ」なのです。