我が国の少子化問題も深刻ですが、お隣の韓国の少子化は桁違いにすごい。
彼の国の合計特殊出生率は、なんと0.78です。
韓国政府は20年近く前から少子化対策に取り組んでいます。
しかも莫大な予算を投じて。
にもかかわらず、1970年には4を超えていた合計特殊出生率は、年々少子化が進んで昨年は0.78となり7年連続で過去最低を更新しています。
因みに、OECD諸国の中で合計特殊出生率が1を下回っているのは韓国だけです。
これだけ凄まじい少子化が進むと、人口減スピードも半端ではありません。
1980年に人口の34%を占めていた14歳以下人口は年々減少し続け、2050年には1割を割り込んで8.9%になると推計されています。
一方、一桁台だった65歳以上の高齢者比率は、2050年には39.8%を占めるとされ、世界でも類を見ないスピードで少子化と高齢化が進みそうです。
なぜ、韓国の少子化が凄まじいのか?
いろいろ調べていくと、やはり我が国と同様に「非婚化」が最大の原因かと思われます。
雇用の不安定化により経済的な理由で、子どもを出産するどころか結婚そのものができない若者たちが増えたようです。
1997年の通貨危機でIMFの管理下となり、グローバリズム経済(構造改革)を押し付けられ、正規から非正規雇用が主流となり、実質賃金が低下して貧富の格差が強烈に拡大しました。
一部の勝ち組と大勢の負け組により、ツーネーション化したわけです。
我が国も似たりよったりですが、韓国のほうが過激に構造改革と社会変革が進んだことが伺えます。
といって、韓国政府が何も対策を講じてこなかったわけではありません。
例えば、2005年には「低出産・高齢社会基本法」が制定され、歴代の政権が数々の対策を打ち出しています。
ノ・ムヒョン政権では、女性が出産後も働き続けられるよう「短時間勤務制度」が導入され、さらに国際結婚家庭への韓国語教育や育児支援を行う「多文化家族支援センター」を全国各地に設置しました。
イ・ミョンバク政権では、一定規模以上の企業を対象に保育施設の設置を義務化しています。
パク・クネ政権は、0歳児から5歳児を対象にした無償保育の所得制限を撤廃しています。
ムン・ジェイン政権も、男性の育児参加の促進に力を入れています。
しかしながら、どれも効果なし。
規模は異なれど、少子化対策に失敗している点においても我が国と似ています。
韓国政府もまた「子育て支援策」に徹してきたようです。
そこには「子育て支援策 = 少子化対策」という誤解があります。
むろん子育て支援策はあっていい。
ただし、それはあくまでも福祉政策です。
「雇用の不安定化」と「所得の減少」など経済的理由による非婚化に歯止めをかけなければならないのですから、その対策は福祉政策というよりも経済対策(産業政策)でなければならない。
まずは構造改革によって破壊された「安定した雇用」を回復し、国民全体の実質賃金を引き上げる経済を実現させるべきだと思います。
とにもかくにも、非婚化に歯止めをかけなければならない。
むろん、我が国も同様に。
日本の場合、東京一極集中の是正も必要になります。