川崎市では、救急車が到着してから病院へ向かうまでの現場滞在時間が30分以上も要してしまう割合が、政令指定都市の中で平成19年度から3年連続でワーストワンとなりました。(最悪時の割合は16.5%)
そうした状況を踏まえ、私は平成22年から当議会において、国の特例病床制度を活用し、三次救急を除く重症患者を24時間365日体制で受け入れる機能を備えた病院の整備を求めました。
その後、平成24年に川崎幸病院が24時間365日受け入れ可能な「重症患者救急対応病院」として指定され、高まる救急医療需要を吸収しています。
以来、同病院をはじめ、他の救急告示医療機関や消防局のご努力によってかなりの改善がはかられ、近年ではその割合(現場滞在時間30分以上)は6.6%まで低下し最悪時に比べ約10ポイントも減少しています。
しかしながら、本市の救急医療については、新たな問題が発生しています。
新たな問題とは、高齢者福祉施設における、いわゆる「押し付け救急」問題です。
高齢者福祉施設において、平素から為されるべき適切な医学的管理(医療的ケア)が為されていないがために、必ずしも緊急性を要していないにも関わらず、呼ぶ必要のない救急車が呼ばれているという実態があります。
約10年前までは高齢者福祉施設における年間救急搬送率は35%でしたが、最近は40%台後半にまで上昇しています。
つまり高齢者福祉施設では2人にひとりが救急搬送されていることになるわけですが、これを私は「高齢者福祉施設による押しつけ救急問題」と呼んでいます。
「押し付け救急」の理由としては、次の二つ、もしくはその組み合わせが考えられます。
①高齢者福祉施設における医学的管理に問題があること。
つまり日頃からの医学的管理について家族への説明がなされていないなどのため、家族からの苦情回避の手段としてすぐに救急車を呼んでしまうことなどが考えられます。
②川崎市の療養病床の「自己完結率」(その地域の患者がその地域の療養病床に入院できる割合)が低いことにより、病状が安定せず本来入院を要する高齢者が老人福祉施設への入所を余儀なくさせられていること。
私は市議会で「高齢者福祉施設での医療的ケアをもっと徹底させる…」よう行政当局に要望し、それを受け、所管局である消防局は各施設に通達を発することになりました。
むろん、通達一つで事態が改善するとは思えません。
まずは、上記①②の改善を急がなければならない。