統一地方選挙が既にスタートしていますが、ご承知のとおり国会(通常国会)は開会中です。
さて、今朝の日本経済新聞を読んで知ったことですが、3月9日の参議院の財政金融委員会において次のようなやり取りがあったようです。
委員からの「異次元の金融緩和がいつまで続けられるのか?」という質問に対し、秋野公造財務副大臣が次のように答弁されたとのこと。
「金融政策を行うにあたっては、黒田総裁の発言を引用したいが『市場との対話』が重要ということ。これは私たちも強調しておきたい」
要するに副大臣は「国債の安定消化のために、日銀におかれては市場と対話しながらうまく異次元緩和を続けてもらいたい…」と答弁されたわけです。
このやりとりを日本経済新聞は「財務省、日銀に異例の念押し 国債安定消化に気をもむ」という見出しをつけて記事にしています。
財務副大臣が国会で「金融政策を行うにあたって…」と発言したことから、1998年4月施行の改正日銀法で確立された「日銀の独立性」に対する挑戦的な発言と捉えたのでしょう。
とはいえ、財務省にしても、日本経済新聞にしても、国債の安定消化に気をもむ必要性がどこにあるのでしょうか?
気をもむべきは安定消化ではなく、このままいくと異次元緩和そのものに限界がくるということです。
異次元緩和とは、日銀が市中銀行から国債を大量に購入することですが、緊縮財政に徹する政府(財務省)が国債発行を抑制しているがゆえに、市場の国債が枯渇しているのでございます。
過日に発表された『資金循環統計』によれば、2022年12月末時点での日本政府の国債発行残高は、国庫短期証券を含めて1,198兆円ですが、そのうち555兆円を既に日銀が保有しています。
国庫短期証券を除けば、上のグラフのとおり、なんと国債の52%以上を既に日銀が保有しているのでございます。
市中銀行(預金取扱機関)がもつ国債が枯渇しているため、日銀は自動的に異次元緩和を徐々に縮小せざるを得なくなっているのです。
といって保険・年金基金などの他の国債ホルダーは、資金運用のために国債を売ることができません。
つまり、どうしても日銀に異次元緩和を継続して欲しければ、財務省(政府)は国債を発行しなければならないのでございます。
これまた、TVや新聞に洗脳されている皆さんにとっては実に驚くような結論が導き出されるのですが、現在の我が国に足らないのは税収でなく、国債(借金)なのです。
政府が少なめに見積もっているデフレギャップでさえ、現在の日本経済は10兆円以上の名目GDPが不足しています。
政府は速やかに国債の発行額を増やし、財政支出を拡大させデフレギャップを埋めるべきです。