新型コロナ感染症は、いよいよ2類から5類に移行される見通しで、長く続いたコロナ禍もようやく微かな出口が見えはじめたような気がします。
さて、3月9日に内閣府からGDP(国内総生産)の2次速報値が発表されました。
2022年の実質GDPは545.8兆円にとどまり、コロナ前の2019年の552.5兆円に届きませんでした。
一方、米国の2022年の実質GDPは商務省の速報値で20兆180億ドル(約2700兆円)となっており、2019年の19兆361億ドルを優に上回っています。
同じコロナ禍なのに、どうして米国は上回り、日本は下回ったのでしょうか?
答えは簡単です。
要するに政府がカネを使った(国債の発行額を拡大した)米国と、政府がカネを使わなかった(国債の発行額を抑制した)日本との差にほかならない。
誰かの支出は必ず誰かの所得になりますので、政府が支出を拡大すれば、所得の合計であるGDPが拡大するのは当然のことです。
日本政府の支出がいかに少ないのかがわかります。
所得のパイが増えないのですから、実質賃金など上がろうはずがない。
因みに、米国政府が国債の発行額を増やしたからといって、米国の将来世代がそれを返済するわけではありません。
単に米国政府は新たな通貨を発行したに過ぎません。
通貨とは、金利のつかない政府の借用証書なのでございます。
なお、経済成長率は前年比1%という、むろん低成長です。
京都大学大学院の柴山桂太准教授は「長期的な成長率が平均で1%を超えない経済は資本主義経済とは言えない…」と仰せです。
そりゃぁ、そうですよね。
資本を投じることで生産性(所得)を向上させていくのが資本主義ですから。
そこで私は、デフレ経済に突入した1998年以降の我が国経済の平均経済成長率(実質GDP成長率)を調べてみました。
なんと、0.56%。
「………」言葉が出ない。
日本経済は資本主義の定義を充たしておりません。
こうなると「新しい資本主義…」もへったくれもない。