日本経済新聞によれば、増税できる政権には条件があるのだそうだ。
その条件とは…
①政権基盤が強いこと
②財務省と連携できていること
③その年に選挙がないこと
…以上の3つ。
これらの条件は、1988年末に竹下内閣が消費税導入を決めた際の状況に由来しているらしい。
ご承知のとおり岸田内閣は、防衛力強化の財源確保策として増税を掲げ、増税の方針を昨年末に示したものの、党内の反発を受けて時期の決定は先送りされています。
「財源は増税でなく国債発行でいい…」という真っ当な勢力が自民党内にもいるわけです。
因みに、竹下内閣が消費税を導入したのは1989年4月のことですが、日本経済の景気はまったく落ち込みませんでした。
あのころの日本経済は、政府収支が黒字になるほど(民間部門は赤字)のバブル経済だったからです。
要するに、民間部門が率先しておカネを借りまくって投資・消費を拡大していた時代で、政府が支出を拡大せずとも自然に税収は増えていったのです。
消費税を導入しても、景気は落ち込まなかったのはそのためです。
その2年後(1991年)にバブル経済は崩壊しますが、崩壊させたのは消費税導入ではなく、日銀(三重野総裁)による金融引き締めでした。
当時、サラリーマンが一生はたらいても家を購入できないほど土地と住宅の価格が上昇していたことが社会問題となっていました。
そこで三重野総裁は、土地の価格を抑制するために金融の引き締め、いわゆる「総量規制」を設けることにより土地や株への投機を抑制させました。
これでバブル経済は一気に崩壊。
その後、日本経済がデフレに突入するのは1998年からです。
ではなぜ、デフレに突入したのか?
それは、1997年から政府(橋本内閣)が、緊縮財政をはじめたからです。
橋本内閣は消費税率を3%から5%に引き上げました。
いつの時代でも「バブル崩壊」と「政府の緊縮財政」の合せ技こそがデフレのきっかけです。
その後、安倍内閣が2014年4月に8%、そして同じく安倍内閣が2019年10月に10%にまで引き上げました。
これら3回にわたる税率の引き上げ(増税)は、ことごとく民間部門による「投資」や「消費」を抑制させ景気を後退させました。
わが国が25年間にわたりデフレを脱却できないのも宜なるかなです。
さて、岸田内閣はデフレを放置したまま、防衛増税を断行する気でいますが、そもそも財源を税収(増税)に求めていること自体が時代錯誤です。
領民から税金をかき集め、それを財源に支出するというのは封建時代の王様や領主の発想です。
例えばあの時代、戦争遂行やインフラ整備のための財源を商人たちから借りる際、王様や領主は将来の税収を担保にして借りていました。
おカネが金貨や銀貨であった封建時代には、それしか手段がなかったのは事実です。
しかしながら、時代が近代資本主義に入ってからは、政府は貴金属などの裏付けのない「貨幣(通貨)」を発行することで、政府支出を拡大させ経済を成長させることができるようになりました。
要するに、近代資本主義における政府は国債(通貨)発行による財源確保を可能にしたのです。
にもかかわらず、岸田内閣は防衛費の財源を税収で賄おうとしています、
なぜか?
岸田内閣は、封建主義内閣だからです。