子供のころ、戦闘モノのTVアニメをよく視聴していましたが、男の子はその特質として無邪気なレベルで鉄砲や刀などの「武器」が好きです。
一定世代の男の子だったら誰しも「空気銃による打ち合い」や「チャンバラごっこ」の経験があるのではないでしょうか。
そしてたいていの場合、誰かが怪我をしたり、人様のものを破損したり、ご近所に迷惑をかけたり、あるいはルールをめぐって友達と喧嘩したりして戦闘は終了する。
この種の遊びと失敗を繰り返しつつ男の子は、それなりの社会性を習得するのかもしれない。
むろん全員が全員そうではなかったかもしれませんが、少なくとも私は戦闘モノのTVアニメでは「はたして今日は、どんな武器をどのように使って悪い怪獣や敵をやっつけるのか…」が期待の一つだったような気がします。
とはいえ、そこは子供だから、より現実離れした武器であるほどに興味を惹かれたものです。
現実離れした武器といえば、例えばレーザービーム。
テクノロジーが発達した現在においてもなお、火力兵器はミサイルや爆弾や銃砲であって、レーザービームは存在していません。
ところが近い将来、レーザービームが現実の兵器として実戦配備されるかもしれません。
防衛装備品の研究開発を担う防衛装備庁が、この春からレーザー兵器の実用化に向けた実証試験をはじめることになりました。
正式には「高出力レーザー」と言うらしい。
それこそ子供のころによくやったように、虫眼鏡で太陽の光を一点に集中させ紙を焦がすのと同じ原理で、電力でレーザーを発生させ熱で対象物を破壊するというものです。
ただ、アニメなどとは違って、実際にはレーザーは目視できないという。
防衛省が高出力レーザーの開発に力を入れている最大の理由は、低コストという点にあるらしい。
ミサイルは1発で数千万円から数億円するのに対し、レーザーが1回照射するのにかかる費用は数百円とのこと。
もう一つの利点は、これは私の素人的視点ですが、一発一発が個々に発射されるミサイルよりも、電力が続く限り弾切れの心配もなく照射しつづけられるレーザーのほうが、より迎撃率が高まるのではないでしょうか。
防衛省としても、自衛隊が課題としている弾薬確保に資するものとしています。
とはいえ、あくまでも「熱」によって破壊するため威力や射程に課題があるようですので、それが実用化に向けた大きなハードルらしい。
先週、試作機が防衛装備庁の試験場に納入されており、防衛装備庁としては今後3年ほど試験を重ね実用化を目指したいとのことです。
高出力レーザーが、一日もはやく我が国の基盤的防衛力の一翼を担ってくれることを期待します。