連続立体交差事業と財源

連続立体交差事業と財源

川崎市は、JR南武線(矢向駅〜武蔵小杉駅間)の連続立体交差事業を行います。

その事業スケジュールは、事業認可が令和6年、工事着工が令和11年、そして完成が令和21年というものです。

事業認可が令和6年で、工事着工が令和11年ということは、用地買収に概ね5年を要すると見積もっているわけです。

しかしながら、補償を含む用地買収はことのほか時間を要するものです。

それは、私が住む多摩区で行っている『登戸土地区画整理事業』がなかなか進捗しなかった(事業開始から30年以上が経過している)苦い現実をみれば明らかです。

さて、今回のJR南武線の場合、建物補償の少ない向河原駅付近はスムーズに買収が進むとして、建物補償のない平間駅付近などは相当に苦労することが予測されます。

私の見立てでは、用地買収だけでも10年はかかるものと推察します。

それを川崎市は「5年でやる…」という。

その根拠については、本日開催される川崎市議会「予算審査特別委員会」で質問する予定です。

さて、連続立体交差事業には「高架化」と「地下化」の2種類があります。

むろん、高架化と地下化のハイブリッドというケースもあります。

今回、川崎市が行うJR南武線(矢向駅〜武蔵小杉駅間)の連続立体交差事業は高架化です。

高架化によるメリットは、踏切の除去による交通流の円滑化及び渋滞の緩和、あるいは通学路踏切の危険性解消のほか、高架化によって創出された高架下空間の有効利用などがありますが、高架化の場合、どうしても高架橋の足場などの用地を買収しなければなりません。

そう考えると、用地買収の手間の少ない「地下化」のほうが、メリットがより大きい。(地下化でも用地買収が必要な部分はあります)

それに地下化の場合、騒音の問題は完璧に解消されます。

ただし、地下化にすると事業予算が高架化の2倍以上はかかります。

予算が余計にかかると、事業費の約半分を負担する国(国土交通省)もやりたがらないし、事業主体となる自治体も尻込みするわけです。

そこで私が提案するのは、この種のインフラ整備については、自治体が発行する地方債(建設債)を日銀が買い取ることです。

日銀も自治体も、いわば政府の子会社です。

ゆえに、自治体の債務を日銀が購入すれば、グループ決算で相殺されることになります。

要するに、政府が新たに通貨を発行して事業費(財源)を賄うということです。

もしもこれが具現化されると、各自治体によるインフラ投資が急速に進むことになるでしょう。

「そんな虫のいい話があるのか?」と思う人もおられるでしょう。

あるんです。

変動為替相場制を採用し、自国通貨建てで国債を発行できる主権通貨国には、それが可能です。

わが日本国は、主権通貨国です。