本市医療圏の基準病床(法定病床)は、北部医療圏(多摩区・麻生区・宮前区・高津区)が3,796床、南部医療圏(川崎区・幸区・中原区)が4,189床、合わせて7,985床であるのに対し、既存病床は南北医療圏を合わせて9,107床となっており、法定的には過剰病床扱いとなっています。
むろん、これは制度上の過剰であって、実質的には明らかに不足しています。
とくに回復期や慢性期を担う病床が極端に少ない。
本市の療養病床の稼働率は常に90%を超え、介護療養病床に至っては95.5%となっています。
因みに病床稼働率というものは、90%の状態でほぼフル稼働です。
このため、長期入院を必要とする患者さんは、せっかく川崎市に居住しているにもかかわらず、他の医療圏に転院させられるケースがしばしばです。
酷いときには、クルマで1〜2時間くらいかかるような遠方の病院に転院を強いられることさえあります。
患者さんはもちろん、お見舞い等に行くご家族たちにとっても実に難儀なことです。
これが、かねてより私が警鐘を鳴らしてきた「行き場のない患者」問題です。
といって、前述のとおり医療法上は過剰病床扱いとなっているため、川崎市が勝手に病床を増やすことはできません。
一方、市内の医療圏では、病院によって病床稼働率に大きな格差があるのも事実です。
例えば、一般病床の稼働率が常に90%を超えている医療機関がある一方で、7割ちかくが常に未稼働の医療機関があります。
空き病床がありながら、多額な補助金がなければコロナ患者の受け入れに消極的な民間病院さえありました。
なお、ことし1月に会計検査院から、新型コロナウイルス感染症患者受入れのための病床確保事業等の実施状況等について、驚くべき内容が公表されています。
病床確保料として補助金を受け取りつつも実際には稼働できる状況ではなかったり、病床確保に伴う機会損失を大きく上回る補助金を受け取っていた例があると指摘されています。
また、3月には神奈川県内の76の医療機関に対して、新型コロナ患者のために確保した病床に対する補助金がおよそ88億円過大に交付されていた可能性があることもわかりました。
ここに、わが国の医療制度の大きな問題点があります。
要するに、本来は公共財であるべき「病床」が、残念ながら各医療機関の固有財産になってしまっているのでございます。
来る3月8日(水)、私は川崎市議会(予算審査特別委員会)で質問に立ち、この問題の解決策をお示ししたいと思います。
質疑の模様は、インターネット議会中継でもご覧いただけます。