電力改革の失敗の責任は誰が取るのか!?

電力改革の失敗の責任は誰が取るのか!?

昨年(2022年)はじめに、大手以外の新電力と呼ばれる電力小売りが相次いで顧客企業との契約更新ができなくなったのは周知のとおりです。

電気の契約を失った企業に必ず電気を届けるセーフティーネット、いわゆる「最終保障供給」をみますと、ことし2月1日時点の契約件数は約4万1000件で、1年前に比べ50倍近くも増え、未だ異常事態が続いています。

新自由主義者たちが「電力改革」の名のもとに行ってきた「電力自由化」の失敗は明らかです。

電力自由化は、発電と小売部門を自由化し、新たに発電所を建設した事業者が送配電会社のネットワークを通じて電力を顧客に小売りすることを可能にしました。

それにより市場競争を促し「電気料金を引き下げる…」という触れ込みでした。

しかしながら実際には、発電所を持たず、JEPX(日本卸電力取引所)から電気を調達し、顧客に安く売るだけで既存の電力会社のシェアを奪い取るという「ビジネスモデル」が勃興しただけでした。

要するに「電力改革」なるものは、新たな需要を創出し経済を成長させるイノベーションではなく、既存のパイを奪い合うだけの過当競争に終始させるデフレ化助長政策だったのです。

小売部門ではひたすら自滅的な「値下げ競争」が繰り広げられ、それでいて発電部門の強化もなされませんでした。

ついには輸入エネルギーの高騰により、私ども国民は誠に割高な電気料金を支払わされています。

因みに、5月からはさらに電気料金が値上がりします。

それに、安定電力である原発を再稼働させず、不安定電力であるメガソーラを拡大したために、火力依存が高まり過ぎて今やLNGへの依存度は半分ちかくに達しています。

LNG価格が安い時期はそれでも良かったのですが、コロナ禍以降にLNG需要が拡大、それにロシアによるウクライナ侵攻が重なって、世界的にLNG価格が高騰してしまったのです。

こうなれば、当然のことながらJEPXに電気を卸している大手電力会社(東京電力ホールディングスなど)は、電力提供を抑制せざるを得ません。

結果、JEPXの市場で「需要>供給」という、あってはならない事態が発生し価格が急騰してしまったのです。

電力改革に、安全保障というコンセプトが一切なかったのです。

メガソーラは増えたものの、「明日の天気次第…」の事業者など、電力卸売市場では何の役にも立ちません。

JEPXの価格が急騰すれば、新電力は撤退するか、顧客に「電気代引き上げ」を通知するしかなくなるのも当然です。

わが国の最大の問題は、この種の「改革の失敗」が国民に共有されず、為政者(政治家や官僚)たちは誰一人として責任を取ろうとしないところにあります。

失政の責任を誰も取らない国は滅びます。