総理を含め国会議員たちの多くは「防衛力強化のためには増税が必要だ…」と言って無知をさらけ出していますが、明らかな間違いです。
資本主義における政府にとって、税は財源ではありません。
財源どころか、徴税は貨幣の消滅になります。
このことは、資本主義というものをちゃんと理解していない人には理解しがたい。
資本主義においては、「政府として〇〇をつくりたい…」という需要に対し、中央銀行が貸し出しを行うことで貨幣が無から創造されます。
そうです、「無」から創造されるのです。
どこかから調達してくるわけではありません。
そして政府が債務を負って支出することで、民間部門(企業や家計)に貨幣が供給されます。
これが資本主義における国家財政の仕組みです。
即ち、貨幣(財源)を生み出すのは政府(と中央銀行)であり、政府は支出にあたって税収という財源を必要としません。
むろん、政府は帳簿上においては発行した国債をいずれ償還しなければならないので徴税が必要となります。
(ただし、実質的には国債償還は借り換えの連続であり、政府は借金を返済などしていません…)
少なくとも、徴税は、国債を償還するために必要なのであって、支出のための財源を確保するために必要なのではありません。
とはいえ、中央政府は国債の償還財源を確保するために新たに国債(借換債)を発行することができますので、必ずしも徴税に頼る必要はないのでございます。
借換債を発行するか、増税するかは、その時々の経済状況に応じて判断すればいい。
例えば、もしも現在のような不況時であれば、増税ではなく、借換債の発行を選択します。
逆に、景気が過熱して冷却する必要があるならば、増税によって償還財源を確保します。
もっとも、景気が過熱しているときは税収も自動的に増加していますので、実際には増税など必要としない場合がほとんどなのですが。
とにもかくにも、政府が債務を負って支出することで民間経済に貨幣が供給されるわけですから、政府債務は必ずしも完済する必要はありません。
民間経済で貨幣を循環させるためには、むしろ政府債務が必要なのです。
そして、景気が良くなって民間部門(企業や家計)の資金需要が高まると、今度は民間銀行の与信行動(貸出し)によって貨幣が創造(供給)されます。
それが過剰になって民間部門の貨幣がだぶつきだしたときにこそ、政府の歳出抑制が必要になるわけです。
一方、政府による起債と支出(貨幣創造)が民間部門への貨幣供給であるのに対し、徴税は民間部門(企業や家計)からの貨幣回収(貨幣消滅)になります。
つまり、貨幣創造(貨幣供給)よりも貨幣回収(貨幣消滅)が多くなると、経済はデフレ化します。
景気が悪く、民間銀行の貸出し(貨幣供給)が少ないときには、政府(と中央銀行)が貨幣を創造(供給)しなければならないのです。
わが国経済は今、コストプッシュ・インフレという不景気に見舞われています。
そんなときに増税(貨幣回収)したら、余計に経済は悪化します。
せっかく、防衛力強化という政府(国民)の需要があるのですから、ふつうに国債発行(貨幣創造)すればいい。
因みに、貨幣量とインフレ率がマイルドに上昇していく経済こそが国民が豊かになる理想的な経済です。
そのためには、政府の支出(貨幣創造)が歳入(徴税=貨幣回収)を常に上回っていなければなりません。
政府の支出(貨幣創造)が歳入(徴税=貨幣回収)を上回っている状態を「財政赤字」といいます。
そうです、財政赤字こそが、経済としては正常な状態なのです。