この10年間、日本経済は明らかに劣化しています。
例えば、2000年と2020年の平均年収を比較すると…
2000年 = 468万円
2020年 = 433万円
…で、7%減。
国民年金の負担料は…
2000年 = 13,300円/月
2020年 = 16,540円/月
…で、24%増。
健康保険(料率)は…
2000年 = 8.5%
2020年 = 10%
…で、1.5%増。
退職金は…
1997年 = 2,871万円
2018年 = 1,788万円
…で、38%減。
加えてこの間、消費税の税率は10%にまで引き上げられ、雇用保険料も引き上げられるなどして、各種の国民負担は増え続けました。
しかも今後は、防衛増税、道路利用増税などが検討されています。
これを国民の貧困化と言わず、なんと言いましょう。
ここのところ新聞紙面では「失われた30年」という言葉が散見されますが、これはおそらく昭和バブル(1986〜1991年)の崩壊を起点にして今なお経済低迷が続いていることを意味しているものと思われます。
しかしながら、1991年にバブルは崩壊したものの、1996年まで日本経済は成長していました。
なぜか?
バブル経済の崩壊により民間支出(投資・消費)は低迷しつつも、政府がそれなりに財政支出していたからです。
日本経済がデフレに突入したのは、1997年に橋本内閣が緊縮財政(財政収支の縮小均衡)に転じて以降のことです。
因みに、その2年前(1995年)に武村正義蔵相が「財政危機宣言」を発しています。
むろん、そんなもの(財政危機)などあり得ないのですが…
1997年以来、政府の緊縮財政は一貫して継続され、日本経済はデフレから脱却できずにいます。
なので正確には「失われた26年」となります。
一方、この4〜5年、欧州ではポピュリズム政党が台頭しています。
米国におけるトランプ現象もまたポピュリズム勢力の台頭といっていい。
これはいわば、グローバリズム(=ネオリベラリズム)経済により貧困化したネイティブ国民による反乱です。
ポピュリズムは悪い意味で用いられますが、思想史的には「エリート主義」の対立概念になります。
エリートが腐敗すると、対抗運動としてのポピュリズムにも言い分がでてくるわけです。
なにせ、ネオリベラリズム経済が進んでしまうと、中間層が破壊され所得再配分に支障を来し、先進国で所得を増やすのは上位層だけとなります。
日本でも同じことが起きています。
ところが、日本では真っ当なポピュリズム勢力がでてこない。
日本で欧米ほどのポピュリズム(怒りの政治)が起きていないのは、日本国民のおとなしい国民性によるものか、それとも…