返礼品競争が問題となっている「ふるさと納税」ですが、寄付を募るための経費が寄付金額の5割を超えている地方自治体が2021年度の段階で136自治体にも及んでいるという。
地方自治体の監督官庁である総務省は、返礼品競争の過熱を防ぐために「経費は5割以下に抑える」という基準を設けています。
松本総務相は「超過した自治体に対して改善を求める通知を出した…」と記者会見で明らかにしました。
ふるさと納税制度は、そもそも政府の緊縮財政が前提になっています。
本来であれば、政府が地方交付税交付金を拡充させることで自治体の財政状況を安定させればいいだけの話なのですが、それをしたくないから自治体同士に「税の奪い合い…」を強いているわけです。
現に地方交付税交付金は、拡充どころか削減され続けてきました。
ご承知のとおり、地方自治体は貨幣の発行者ではなく「利用者」です。
貨幣発行できないために、地方交付税交付金を削減されてしまうと当然のことながら財政事情は窮地に追い込まれていきます。
「だったら、地方税を互いに奪い合うがよろしかろう!」と、菅義偉(前総理)の肝いりで導入されたのが「ふるさと納税」です。
ふるさと納税は地方税という「限られた税金」のパイの不毛な奪い合いであると同時に、執行に際し様々なビジネスが発生し、コンサルティング会社などがボロ儲けできる歪な仕組みになっています。
また、ふるさと納税という「事業」には様々なコストがかかります。
返礼品の調達はもちろんなのですが、例えば広報費や事務決済費など、2020年度の費用総計は3034億円に及んでいます。
こんな制度さえなければ、地方自治体全体で地元に使える予算が3000億円以上は増えていたことになります。
もともと当該制度は、都会に暮らす地方出身者が、過疎化や少子高齢化で悩む故郷の町を支援するためのものだったはずですが、今や目的どおりにはなっていないのは明白です。
そっこく廃止してほしい。