きのう内閣府から『日本経済2022-2023』(日本経済に関するリポート)が公表されました。
レポートは現状の物価高について「資源高や円安によるコスト増の影響が大半である…」と分析し、国内需要の回復、賃金の上昇が伴わなければ再びデフレに陥るリスクがあるとしています。
とぼけて「再びデフレに陥る…」などと言っていますが、この25年の間、わが国経済は継続してデフレです。
デフレ経済の上に、資源高や円安によるコスト増の影響が乗っかっている状況です。
資源高や円安によるコスト増によって物価が上昇した場合、物価上昇分は国民の所得にはならず、残念ながら外国の所得になってしまいます。
これがいわゆるコストプッシュ型インフレ(=悪性インフレ)です。
コストプッシュ型インフレでは、どうして国民の所得は増えないのか?
むろん需要が増えていないからです。
GDP三面等価一致(所得=需要=生産)の原則がありますので、需要が増えなければ絶対に所得は増えません。
そもそも供給能力に対して需要する力が不足している状態をデフレ経済というわけですから。
現に今の日本経済は、食料とエネルギーを除いた総合消費者物価でみると1.5%(前年同月比)で未だ2%にとどいていません。
逆に、もしも需要が伸びる形で物価が上昇していく「デマンドプル型インフレ」であれば、必ず所得は増えます。
これが良性インフレになります。
繰り返しますが、資源高や円安により物価が上昇した場合、増えた分は海外の所得になります。
因みに、実は消費税も国民の所得が増えないかたちでの強制的な物価上昇です。
物価上昇分(10%)は、国民でなく政府の所得(貨幣消滅)になりますので。
さて、輸入物価の上昇により発生するコストプッシュ型インフレの正しい対処法はなんでしょうか。
主流派経済学的には「利上げが必要だぁ〜」となるらしいのですが、利上げ政策はいわば強制的な景気悪化政策です。
ただでさえ日本経済(国内経済)はデフレなのに、そんなことをしたら益々もってデフレ化してしまいます。
なので引き続き異次元の金融緩和を行っている日銀は正しい。
ただ、金融緩和だけでデフレとコストプッシュ型インフレの両方を退治することはできません。
求められている正しい政策は、需要不足を埋めてデフレを脱却するための「財政支出」であり、エネルギーや食料の輸入物価を引き下げるための「財政支出」であり、コストプッシュの影響を受ける産業部門の供給能力を引き上げるための「財政支出」です。
むろん、供給能力を引き上げるための財政支出は、供給能力が引き上げられるまでの間はインフレ圧力になりますので、消費税減税(もしくは廃止)や給付金や手当などの消費者支援(財政支出)が必要になります。
結局、財政支出の拡大が必要なのでございます。
財源は?
むろん国債発行(通貨発行)でいい。