自国通貨建てで国債を発行している日本政府がデフォルト(債務不履行)する可能性はゼロ%ですが、近い将来、南海トラフ地震が発生する可能性は格段に高い。
南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけての陸のプレートとその下に沈み込むフィリピン海プレートの境界を震源域として発生する海溝型地震ですが、恐ろしいのはこの地震が発生した場合、1週間以内にさらに別の巨大地震(後発地震)が発生する可能性があるとのことです。
東北大学、京都大学、東京大学の研究チームの試算によれば、その確率は平時の約100~3600倍になるらしい。
過去の事例をみますと、当該地域では概ね100~150年程度の間隔で繰り返し大規模な地震が発生しています。
1944年の昭和東南海地震、1946年の昭和南海地震から既に80年近くが経過しており、政府も今後30年以内の発生確率を70~80%と予測しています。
ご承知のとおり、南海トラフ(先発地震)だけでも、かなり甚大な被害が想定されています。
最悪の場合は、関東から九州にかけての30の都府県で合わせて約32万人以上が死亡するという。
少なくとも沿岸部には最大で30メートルを超える巨大津波が押し寄せるとされ、津波、揺れ、火災などで238万棟余りの建物が全壊したり焼失したりすると推計されています。
首都直下型地震(マグニチュード7.0以上の地震)についても30年以内に発生すると予測されてから随分と月日が経っていますので、南海トラフ地震と連動する可能性も否定できない。
被害が広範囲にわたり、なおかつ首都機能が不全となった場合には、復旧・復興にかかる時間と手間は阪神淡路大震災や東日本大震災をさらに上回ることでしょう。
であるからこそ国土の強靭化が急務なのですが、上の表のとおり、公共事業関連費は抑制され、国土強靭化として計上される補正予算も極めてしょぼい額となっています。
本気で国土と国民を護る気概はあるのでしょうか。
詰まるところ、わが国の政治が「そんなこと言っても、財源がぁ〜」という呪縛に縛られているのでございます。
しかしながら、自国通貨建てで国債を発行し、かつ変動為替相場制を維持できる日本政府の場合、中央銀行制度があるお陰により、べつに税収を元手にしなくとも、中央銀行が無から創造した貨幣を得ることで政府支出を拡大することが可能です。
残念にも、このことがなかなか理解され難い。
理解され難いのですが、真実として貨幣とは負債のことであり、政府や企業の貸し出しによって創造され、政府や企業の返済によって破壊されるものです。
即ち、政府が国債を発行して債務を負うことはまさに貨幣の創造であり、政府が税収によって債務を返済することは貨幣の破壊となります。
誤解を恐れず何度でも言います。
中央銀行は、政府の需要に応じていくらでも貨幣を創造したり供給したりすることができるのです。
この一点をもって、企業や家計とは異なります。
緊縮派(財政が破綻するぅ〜派)の最大の特徴は、こうした中央銀行の存在を無視することです。
その無視は意図的なものなのか、それともただ単純に考えも及ばないのか。
おそらく後者かと…