今日、厚生労働省から昨年11月の実質賃金指数の確報が発表されました。
現金給与総額は前年比でマイナス2.5%、きまって支給する給与は前年比でマイナス2.6%となりました。
指数(2020年=100)でみますと、現金給与総額は86.5、きまって支給する給与は98.1ですので、とりわけ現金給与総額はコロナ禍に突入した2020年よりも大幅に悪化していることがわかります。
何度でも言いますが、実質賃金の低下は国民の貧困化を意味します。
こうしたなか岸田内閣は新たな少子化対策として、年金、医療、介護、雇用の各社会保険から拠出金を積み立て、非正規労働者らを対象にした「子育て支援の給付制度」を創設するとしています。
即ち、日本国民一人あたりの社会保険料を引き上げることになるけど、「非正規労働者の子育て支援に使うおカネだから文句ないでしょ…」と言いたいわけです。
しかし皆様…
このような低俗なレトリックに騙されてはなりません。
なぜ低俗なのかと言うと、典型的な「貨幣のプール論」(おカネはどこからかもってこなければならないモノ、という考え方)だからです。
要するに「子育て支援のための財源を誰かに負担させねばならない…」「そのためには増税が手っ取り早いが、とりあえず保険料の値上げで財源をつくろうじゃないか…」というわけです。
貨幣のプール論に陥ってしまうと、せっかくある「中央銀行」や「国債」といった実に有用な政策ツールを活用するという発想が全くありません。
いつも言うように、そもそも行政は借金ありきです。
中央政府であれ地方行政であれ、行政は歳出が先、歳入が後であるのは物理的な事実です。
この一点で、家計簿と行財政は異なります。
そもそも「税は財源…」や「財源を誰かに負担させなければならない…」といった考え方そのものが間違いなのでございます。
ふつうに国債を発行し、政府が財政支出を拡大すればいいだけの話です。
非正規を正規にする「雇用改善」が急がれますとともに、何より実質賃金を上昇させる財政政策(国債発行と歳出拡大)こそが子育て支援になります。
何度でも言おう。
税は財源確保の手段ではありません!