1月17〜18日、日銀は金融政策決定会合を開催しました。
今回の主な決定内容は…
①長期金利の上限を0.5%程度とする長短金利操作(YCC)
②短期金利をマイナス0.1%とするマイナス金利政策
③年12兆円を上限とするETF、年1800億円を上限とするREITの買い入れ方針
④金融政策の先行きを示すフォワード・ガイダンス
⑤金融機関におカネを貸し出す「共通担保資金供給オペ」
…の五つです。
要するに、大規模な金融緩和の継続です。
因みに過日来、日本経済新聞をはじめ多くのメディアが「事実上の利上げ…」と報道していますが、嘘です。
日銀はYCC(イールド・カーブ・コントロール)の歪みを修正しようとしただけで、事実として利上げ政策など行っていません。
日銀は一貫して低金利政策と大規模な量的緩和を行っています。
さて、決定内容の①〜④はこれまで行われてきたことが引き続き維持されたもので、新たに拡充されたのは⑤共通担保資金供給オペです。
共通担保資金供給オペとは、日銀が国債や社債などの担保を差し入れた金融機関に資金を貸し付けるというオペレーションです。
オペレーションの仕組みには「固定金利方式」と「金利入札方式」の二種類があり、日銀は固定金利方式の貸付利率を0%貸し出しごとに決められるように改め、一方、金利入札方式については貸付期間の上限を1年から10年に延長しました。
現在、政府の緊縮財政によって市場に出回る国債が枯渇しています。
しかし、量的緩和を続けるにはどうしても国債が必要です。
そのため、金融機関が「日銀から低金利で借り入れた資金」で「利回りの高い国債」を買い易いようにしたのでしょう。
どうやら投機筋が日本国債に空売りを仕掛けているようで、それに対抗するために日銀は金融機関に国債の購入を促しているわけです。
国債を購入するのは金融機関でなくとも日銀でもいいのですが、日銀が買うと何かと批判されるので、できるだけ金融機関に買わせたいのだと思います。
ご承知のとおり、今の日本経済はコストプッシュ・インフレで物価が高騰しているものの、とにかく景気が悪く需要が低迷しているために企業に資金需要がありません。
資金需要がなければ、どんなに低金利でも企業は銀行からおカネなど借りない。
であるからこそ、政府が国債(おカネ)を発行(支出)して需要を創出するほかないのですが、国会では財政支出の拡大どころか「防衛増税」が議論されているありさまです。
国債発行は貨幣の創出ですが、税の徴収は貨幣の消滅にあたります。
貨幣を消滅させたら、余計に需要は低迷してしまいます。
とにもかくにも、今の日本経済には国債が足りません。
国債が需要をつくり、需要が金融機関による貨幣発行(預金発行)を創出します。
国民の預金が国債をつくるのではありません。
銀行による貨幣発行(預金発行)が着実に増えはじめたとき、はじめて日銀は出口戦略(金融緩和の縮小)を考えることになります。
言うまでもなく、国債を発行できるのは日本政府だけです。